レイ・ブラッドベリのSF、ファンタジー、ロマンス短編集「猫のパジャマ」(河出文庫さま)

 

  ある平凡な日。ごく平凡なカリフォルニアの街ミルパス近郊の道。 

  西と東から愛車を駆るハンサムな男と、さらにハンサムな女。ふたりは、急ブレーキをかけて、クルマを止めます。衝突回避のためではありません。対向車線を、法定スピード遵守、安全運転中だったので、事故など起こるはずがない。ふたりとも、若くて、社会的な地位もあり、そこそこお金持ちで、かなり幸せ。気分はハイですが、だからこその安全運転。

  どんなに、ハイな人でも「それ」を見落とすことはないでしょう。車線の中央にうずくまる「それ」。

  小さくて、ふわふわ。みゃあ、みゃあと呼ぶそれ。

  同時に手を伸ばす男と女。

  「それ」を家に連れて帰ることができたら・・・・・「かなり」ではなく「完全に」幸せになることが、わかったのでした。

  若いふたりに対して、「それ」は一匹・・・・・さあ、どうしましょう? 「猫のパジャマ」

  夢と活力にみちた若い娘マギー。彼女が欲しかったのは、、控え目な召使いたちによって手入れされいる、優雅で小ぎれいな第二次大戦戦後風の邸宅。しかし、そこは、古びたロココ調の屋敷。ロココ調、といえばロマンティックだけど、現実はまるで幽霊屋敷。どう贔屓目で見ても”幽霊屋敷”。いずれ誰かが”この屋敷”の無人の部屋に忍び込んでウワサするかもしれない、”かわいそうな若いマギー・クリントンはこの屋敷で・・・・・”。結婚したら、付いてくるこの屋敷。恋人の家なのだから。愛の代償が、この屋敷。なら結婚することに何の意味がある?

 これは、テニスとゴルフが好きな現代のお姫さまが、古い古いお屋敷と、仲良くなるまでの物語。「屋敷」

 など、20編ほどの掌編、短編からなる短編集。

  

 

 

  前回、新居のある北浦和に関してお話しましたが、聞けば国道沿いを北方に500メートルほどいくと、こじんまりと、しかしおいしいカトマンズ料理、つまり北インド料理のお店があるとのクチコミをキャッチ。日曜のランチはキマリ、と国道そいの散歩。途中、揚州商人があり誘惑にかられましたが、無視。米粉の鯛焼き屋さん前の行列も、ひたすら無視。で歩きつづけると、突如、出現したのは、ツタヤとブックオフの複合店舗。

 でか!のひとことです。

 ちょっとだけ寄るつもりで、けっきょく1時間。

 その分、多大の収穫がありました。

 

 ブックオフ。とにかく広い広い。伊勢丹新宿店をご存知の方なら、あのフロアくらいの広さ、といえばイメージしていただけるかな、と。大型ブックオフにありがちな「入り組んだ書棚配置」、なぜかビジネス系ソフトカバーの隣にゲーム攻略本、それも、もはやオオコケしたという記憶しかない「レジェンド・オブ・ドラグーン」 のガイド(ウルティマ本とよばれていた分厚い本です)が並んでいるなどという混乱も皆無。ストレートな商品配置です。書棚の並ぶ中、100均文庫が5列に及ぶ品揃えというのが、嬉しい。しかも「準新作」が買えます。「ミレニアム」シリーズ全巻、「アレックス」と「イレーヌ」あたりまで、新品同様で入手可能。「福家警部」も前々さくくらいまで並ぶ。

 

  で、大崎梢さん「片耳うさぎ」、美輪和音さん「ゴーストフォビア」、北森鴻さん「新装版・狂乱廿四孝」、西條奈伽さん「いつもが消えた日」、有間カオルさん「気まぐれ食堂」などなど入手。レジに向かおうとしたとき、目についたのが、隠れた最高作と名高い、この「猫のパジャマ」。買う、一択です。なぜ「隠れた」なのか。それは、版元が早川でも創元でもない河出さんだから、なんだろうな、と。河出書房さんこそは、海外だけでなく国内にもテリトリーを広め、講談社文庫さんあたりが絶版にしまくった国内ミステリーなどを拾い集めて再販しては、なぜかヒットさせまくっている、SF、ミステリーのダークホース。独自編纂された国内SFアンソロジー「NOVA」を刊行し始めたころから、つまり10年もむかしからSFファンのみなさまからは「定番」扱いだったようです。

  もし、シオドア・スタージョンノファンだけど和訳が少ない、ディックの「コアな名作」が読みたいという方がいらっしゃたら、河出さんの公式サイトのチェックをおススメします。

 

  響さま、お読みいただけていたら、「ニック」はじめホックさまの諸作、河出版を100均ゲットしたことを、ご報告いたします。

https://hama-sush-jp.pro/bookcafe-cosmos/

 ついでに「勝手にサイトをオススメ」です。「推理小説のお時間」は、たとえば有栖川有栖さんのミステリー論に賛同、海外ミステリー大好き、という方なら「絶対に、よんでお得」なブログだと確信していますので、今後も響さんのフォロワーさんが、1万人を超えるまで布教活動を続けていきます。

  以上、ご報告。

 

  そして。

  「猫のパジャマ」

 数年来、ウワサの中の存在だった夢の本をGETしたわけですが。

  ご忠告です。

  ブラッドベリといえば、とにかく、美しい文章。短文、長文、直喩、隠喩、詩的韻律とりまぜて、それはもう流麗です。しかし、ここが、じつは大問題。よみやすい、という長所まであるので、流れにのって短時間で読めてしまう。

 どうか、ゆっくりとお読みください。

 うっかりすると、「秘められた物語」を拾いそこねてしまいます。

 私の「あらすじ」は、この1冊の素敵さを1割もおつたえできていません。

 

 「太陽の黄金の林檎」や「十月は黄昏の国」「何か道をやってくる」が合わなかった、という方にこそ読んでいただきたいです。

 

 本編とはことなり、前書は、ややお茶目。

 ブラッドベリ、お気に入りは「オリエント急行」とは。

 21世紀版の映画を見せてあげたかった、と。