西加奈子さんの「漁港の肉子ちゃん」(幻冬舎文庫)

 

    ふとっていて不細工な38歳の肉子ちゃん。菊子という本名があるのに、誰もが彼女を肉子ちゃんと呼びます。

    大阪で水商売をしながら、ひとり娘の喜久子、愛称キクりんを育ててきた肉子ちゃんが引っ越してきたのは、東北地方の港町。

    その町の焼肉屋で働きながら、キクりんとふたり暮らしをする肉子ちゃん。しだいに成長するキクりん。

    ふたりを港町の人々のあたたかい視線が見守ります。

 

 

    まず”肉子ちゃん”というあだ名のインパクトがすごいです。

    性格もぶっとんでいます。とにかく、いつでも明るい。娘のキクりんとは”肉子ちゃん””キクりん”と呼びあう仲。世間的にみて、とても、理想的な母親とは言えないのですが(すぐ男に騙されるし)、キクりんにとってはいいおかあさんです。

 

    キクりんは肉子ちゃんには似ても似つかぬ美少女。町の小学校に通いながら、スクールカーストに悩んだりします。

 

    印象的だったのは、キクりんの運動会に肉子ちゃんが来てくれるエピソード。 焼肉屋の主人サッサンをはじめ、店の常連たちもいっしょに来てくれて、応援してくれます。

 

    疲れているときに読むのもおススメ。全力で、人生というものを肯定してくれるような小説です。