イタリアから飛行機で帰って来た日のこと。

 

空港駅の切符売り場に並んでいると、

 

上から下まできっちりお洒落スーツで固めた男性が

 

突如私に向かってすっと接近して来た。

 

あまりに自然に横に並ぶので一瞬

 

「あれ?あなた私のお連れさんでしたっけ?」

 

と錯覚させられるほどの見事な手腕であったが、

 

いやいや、冷静に考えてみれば、

 

こんなお洒落スーツ(カラーイメージ:マリオ)の知人などいない。

 

旅行中のイタリアでのあれやこれやのせいで

 

すっかり警戒レベルが引き上げられている私。

 

「それ以上近づいたら通報しまっせ」

 

くらいの目線で相手を睨んでいた気がするのだが

 

予想に反してこのお洒落スーツの男が言ったのは

 

「ねぇ、2ユーロくれない?(英語)」

 

であった。

 

 

 

2ユーロ(230円)?

 

 

 

一体全体何故このお洒落スーツに2ユーロを恵まねばならないのか

 

さっぱり分からなかった私は困惑。

 

すると彼は取り繕うように、

 

「切符買いたいんだけど、2ユーロ足りないんだ。」

 

と言う。

 

 

 

私 「残念ですけど私もカードしか持ってませんので・・・(※本当)」

 

男性 「いや、僕もカードは持ってるんだ。ただ現金が欲しいんだよ。」

 

 

 

いや、何故?

 

 

 

何にせよいくら私を揺すったところで

 

現金など零れ落ちて来ないと悟ったらしいお洒落スーツ氏、

 

ぷいっと私に背を向け

 

何故かそのままどこかへ消えて行ってしまった。

 

 

 

露骨に怪しい男だったな・・・・・。

 

 

 

わざわざドイツ国内で英語で話しかけてくるとは、

 

彼はドイツ人ではないのだろうか。

 

はたまた私がアジア人だから気をつかった結果なのか。

 

しかしそれならドイツ人にドイツ語で交渉する方がはるかに容易い筈。

 

当然外国人旅行者ということも考えられるのだが

 

不思議なことに彼は手ぶらで、荷物を持ってすらいなかった。

 

とは言えここは世俗から隔離された空港駅な訳で

 

地元の人間がふらりと立ち寄る場所とは言い難いのである。

 

 

新手の詐欺か、

 

はたまた実は本当に何かアクシデントに見舞われていたのか、

 

謎である。