今朝、いつものように駅でトラムを待っていたところ

 

困り顔の観光客(20歳前後の西洋人女性)が

 

うろうろとこちらに歩いてきた。

 

とは言え私の住むエリアは観光なんぞ塵ほども関係ない住宅街。

 

そもそもこんな場所で観光客に出くわすこと自体不思議なのだが、

 

どうやらこの地球上に存在する

 

超次元的方向感覚の持ち主は私だけではないらしく、

 

観光名所から遠く離れた住宅街を彷徨える観光客に遭遇したり

 

彼らに道を訊かれたりすることは案外日常茶飯事であったりする。

 

 

まぁ、訊かれたところで私も答えられないが。

 

 

さて、話を戻すがこの迷子、

 

何を思ったか駅に数多存在するドイツ人には目もくれず

 

一直線に私のところへやって来た。

 

いやいや、

 

何でわざわざ一番余所者っぽい見た目の人間を選ぶんや

 

と思ったのも束の間、

 

この観光客の女性が捨てられた子猫のような目をしながら

 

「あの・・・英語、喋れますか・・・・?」

 

とか細い声で私に尋ねて来た。

 

 

あぁ、そういうことか。

 

 

英語が通じそうで、意外と通じないこの国。

 

その辺の幼稚園児がぺらぺら英語を喋る一方で

 

駅のおじさんが「英語?何それ?美味しいの?」な顔をするので

 

観光客にとっては予想外に困りものなのだが、

 

いっそ明らかな外国人の方が英語通じるんじゃね?

 

という心理が働くのか、

 

この手の質問をされるのはこれでもう十数回目である。

 

 

 

さて、この女性から詳しく話を聞いたところ、

 

彼女はドイツのトラムに乗るのが初めてで

 

チケットをどこで買えば良いのかが分からないのだと言う。

 

あぁ、それなら電車の中で買ったら良いんですよ

 

と買い方を伝授したのだが、

 

その後しばらくして乗り込んだトラムの中で

 

またしても先ほどの女性が

 

おろおろと周りの人の助けを求めているのを目撃。

 

しかし話しかけた相手が英語を解さなかったのか

 

ドイツ語と英語のドッジボール状態に陥ってしまっていた。

 

 

買うところまで付いて行ってあげるべきだったな・・・・

 

 

と自分の気の利かなさを反省しつつ間に割って入ったのだが、

 

その後のやりとりから

 

今度はこの女性が小銭を全く持っていないことが発覚した。

 

 

あぁ、やっちまった・・・orz

 

 

先ほど説明した通り、

 

車内の券売機で切符を買うのがデフォのこのトラム。

 

しかし実はこの券売機

 

小銭とプリペイドカードしか使用できないという

 

大変不親切なシステムとなっており、

 

小銭がない人間は電車に乗った瞬間詰む

 

という観光客泣かせの恐ろしいトラップを搭載している。

 

そもそもユーロは日本の500円にあたる5ユーロから紙幣であるため

 

必然的に財布の中に小銭がたまる機会が少なく、

 

そして気の毒にこの女性の財布には10ユーロしか入っていなかった。

 

 

・・・・・・・・・・・さて、どうしたものか。

 

 

両替してあげたいが

 

私の財布の中も小銭入れは文字通りカラっぽ。

 

先ほど彼女と会話のドッジボールを楽しんでいた女性も

 

小銭は全く持ち合わせていなかった。

 

周りで我々を観察していた人たちにも視線を送ってみたが、

 

特に名乗り出てくれる人もいない。

 

そして、そうこうしている間に私の降車駅は黙々と近づいてくる。

 

 

私 「・・・・あと2駅も行けば大きな駅に停まります。とりあえずそこで降りて、

駅にある券売機で買うしかありません。そこなら紙幣も使えます。」

 

女性 「え、でも、でも・・・」

 

私 「ごめんさい、残念ですが私はもう降りないといけません。」

 

女性 「え、でも!え、え・・・・・」

 

 

すまない名も知らぬ観光客よ、

 

と断腸の思いでぎりぎり電車から飛び降りた私。

 

彼女の打ちひしがれたような目に罪悪感がふくらむが

 

私も一応仕事に行かねばならぬ身。

 

言葉も通じない異国で不安な気持ちはよく分かるが、

 

一緒に付いて行ってあげることは出来ないのである。

 

 

 

果たしてあの子はちゃんと切符を買えただろうか。

 

そればかり考えてしまう一日であった。

 

 

 

 

【今日のいつか使えるドイツ語】

 

Können Sie mir bitte 10 Euro wechseln?

(10ユーロを崩してもらえませんか?)