無事にベルファストから帰宅し、
何日かエリックの実家に泊めてもらった時のこと。
エリックが私に
マミーとダディに何か日本食を作ってあげてくれませんか?
と打診してきた。
日本食を・・・・・
それはまぁ、まったくもってお安い御用なのだが、
どんなに良い人たちとは言え
彼らもまた英国料理至上主義の英国人。
食べ慣れない料理など、恐ろしくて口にできないのではないだろうか。
エリック 「うーん、前にカレーなら食べてましたよ。」
私 「いや、あれは和食と呼ぶには若干語弊があるのでは・・・・。」
という訳で作戦会議の末、結局メインの料理を作らず
小皿料理をたくさん作り、自由に取り分けて食べるビュッフェ風を採用。
これならば個人で勝手に危険を回避してくれるだろう。
という訳で当レストランの本日のメニューはこちら
お稲荷さん
チキンの照り焼き
餃子
モヤシのナムル
キノコのバター醤油
出汁巻き卵
お吸い物
若干メニューが偏っている上に、野菜が皆無だが
これは二人が食べられそうな食材を詰め込んだ結果である、悪しからず。
という訳でエリックと二人でキッチンに立った私。
エリックの料理の腕前と言えば、
以前フランスで披露した斬新過ぎる人参の皮剥きが記憶に新しいが
まぁ、なんとかなるだろう。
・・・・・・・・・・・・・・たぶん。
私 「ではまず、君には米を研いで焚いてもらおうか。」
エリック 「それくらい出来ますよ!」
と、いそいそと米研ぎを始めるエリック。
その隙に私はチキンブロックを解体し、
味付けをし、ソースを作り、オーブンに放り込み、
キノコ料理まで完成させていたのだが、
ふと、ここでようやく助手君の存在を思い出した。
私 「そう言えば米は焚けたのか?そしたら次はそれを・・・・」
エリック 「いえ、まだ研いでいるところですよ。」
なんでやねん。
私 「たかが米研ぎに一体何世紀かけるつもりだ。早く焚いてしまえ。」
エリック 「りょ、了解です。あの、ザルはこれで良いですか?」
私 「・・・・・・・・・ザル?」
エリック 「?お米って焚く前に水切りますよね?」
すまん、私にもわかる言語で喋ってくれ。
私 「切ってどうするんだ。上2cmまで水を入れて、10分レンチンだ。」
エリック 「あ、はい・・・・・できましたよ。」
私 「・・・・・・・レンジは見張っていなくても爆発などしないぞ。
こっちに来て、餃子を作ってもらおうか。」
エリック 「え!そんな大役を僕がですか・・・・!」
案ずるな、解凍するだけの簡単なお仕事だ。
という訳で隣で冷凍餃子と格闘する助手を放置し、
残りのメニューに取り掛かった私。
餃子がなんとか完成したところで、
折角なのでもう一品エリックに任せてみることにした。
私 「エリックよ、君にナムルの作り方を伝授しよう。」
エリック 「む、難しそうですね。」
私 「慣れれば5分で出来るメニューだから、心配は無用。
ここに必要な調味料をすべて出しておいたから、
それぞれスプーン2杯程度混ぜて
チンしたモヤシにまわしかけるだけだ。
あぁ、刻んだニンニクも忘れずに。」
エリック 「スプーン2杯というのは、大さじですか?」
私 「うーん、どうせ後から味を調えるからとりあえず何でも良いんだが、
モヤシの量が多いからまぁ、大さじを目安に入れておこうか。」
エリック 「分かりました。」
と言う訳で、
今度はいそいそとモヤシと格闘し始めたエリックを放置し
一人で残りの料理を全て仕上げた私。
テーブルもセットし、準備は万端である。
私 「エリックよ、モヤシの準備はできたか?」
エリック 「それが、大さじのスプーンが見つからなくて・・・・・。」
いや、何の話や。
火薬でも調合しているならともかく、所詮は回しかける醤油やら酒やらの分量。
そんなもん、適当に入れとけば何とでもなるわ、アホ。
と、心の中で総力を挙げてつっこむ私であったが、
まぁしかし、思い返せば私の周りには
もいた位である。
ひょっとすると私がおおざっぱ過ぎるだけなのだろうか・・・・。
悩むところである。
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ちなみに夕食会は大成功でしたが、
マミーが息子作の餃子を美味しい美味しいと褒めていたのは
少々良心が痛みました。
マミー、それ、冷凍食品・・・・
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