いくらなんでも暖かすぎる、異常気象だと囁かれた今年の北ドイツ。
私はドイツで冬を越すのは初めてだが、
例年なら氷点下に突入している時期にジャケット1枚で外を歩き回れていたのだから
噂に違わず本当に暖冬なのだろう。
なんせほんの二日前まで、我が部屋は窓も終日開けっ放しであった。
そんなドイツにとうとう本格的な冬が到来したのはつい一昨日。
ミュンヘンやベルリンにはどっさりと雪が降り、各地で積雪が観測されたのだが
ここに至っても、何故か我が街は未だ穏やかな秋の日そのものであった。
ニュースで各地の積雪が報道されるなか、一昨日の我が街の住民たちは
『木漏れ日』 『収穫』 『実り』 『黄金』 『秋晴れ』
という言葉が実にぴったりの、麗らかで暖かい幸せな日を享受していたのである。
私の晴れ女としての能力も、とうとうこのレベルにまで到達してしまったのか・・・・
と、自分の秘めたる力に勝手に戦慄していた私だったが、
そんなことを言っていられたのも、
今朝方鋭い氷のような空気の一撃を不意打ちで食らうまでだった。
氷河期到来・・・・・?
昨日までのあのぽかぽかした日々は一体どこへ隠れてしまったんだ?
と狼狽えながらあたりを見回すのだが、とにかく窓の外はどんよりぐっしょり。
その上、体の芯まで凍りつくような冷気がガラス越しでも感じられる。
嗚呼、私これ知ってます。冬ってやつです・・・・orz
さてこの日の夜、私は友人と近所の小さなクリスマスマーケットに行く約束をしていた。
外は寒いが、しかし昨日までここは秋の街であったはず、
故にいくら寒いとは言え、対冬の完全重装備で行くまでもあるまい・・・・・。
と何故か暢気にも思った私、
もしサンタさんにタイムマシンを貰えたら、ぜひ7時間前の私をぶん殴りに行きたいくらいだが
薄手のコートに薄手のセーター、スカート、ストールというなんとも無防備な格好で外に出てしまった。
家から出た瞬間に寒いとは思ったのだが、
ちょうどその時間は日が出ていて気持ち的に体感温度も高く
マーケットで動き回るし、この調子なら大丈夫だろうと自分を納得させてしまったのである。
ちなみにやって来た友人を見るに、彼女も全く同じ思考回路であったらしい。
が、ここで予想外の事態が起こった。
雪である。雪が降り始めたのである。
これが今年初めての雪だったのだが、
『はつゆき』
と言う言葉のもつ儚さというか、可愛らしさというか、いじらしさに反して
降って来たのはごんごんごんごんとでも表現したいようなドカ雪。
それが突然なんの前触れもなく降り出したかと思えば、次の瞬間には吹雪になっていた。
(声にならない絶叫)
寒いなんてものではなく、痛い。
表皮の細胞から心臓、果ては脳みそまでが、冷たすぎて痛い。
あっという間に体の細かな震えが止まらなくなり、
体中の関節がぎしぎしと音を立てはじめ
最後には何故かお尻の筋肉が硬直し、うまく歩けなくなった。
その上寒すぎてガタガタ震えていたと思ったら、
次の瞬間には何故か一瞬感覚がなくなり、ふわっと暖かさと眠けが襲ってくるのである。
もしや私、都会のど真ん中で凍死しかかっていないか・・・・・?
その後結局、
寝たら死ぬぞ、寝たら死ぬぞ
と自分に必死に言い聞かせながら、なんとか家まで辿りついたのだが
やはりヨーロッパの冬を舐めてかかってはいけないな、と心に刻む冬の夜であった。