国土を丸ごと海に囲まれておきながら、何故かあまり海産物を食べないここ英国。
よってどこのスーパーの鮮魚コーナーにも
大抵はサーモン、鱈、鯵、海老、ムール貝くらいしか並んでいない。
たまにものすごく運が良ければ殻つき牡蠣を見かけることがある程度。
まぁしかし、
海の悪魔タコに始まり、死の危険と隣り合わせのフグ、海藻、
果てはウニまでこじ開けて食べようと思った
我々日本人の食い意地の方がおかしいのかも知れないが。
さて、そんな海産物のバリエーションが些か乏しい食生活を送っていた私だが
2週間ほど前、我が村が誇るスーパーT社で運命の出会いを果たした。
生のイカである。
そもそもイカを食べる習慣がないここ英国。
一応スーパーに冷凍のイカは置いてあるのだが
これが業務用サイズ(恐らく中華&イタリアンレストラン用)だったので手が出せないでいたのである。
が、この町で暮らすこと1年と4か月。
ここに来て初めての生のイカとの遭遇。
早速テンションが上がって鮮魚コーナーのお姉さんに3匹程注文すると
「イカってどうやって食べるの?」
と興味津々に尋ねられた。
醤油でシンプルに炒めても美味しいし、海鮮パスタも良いし、エスニック焼きとか
いっそ甘辛いソースに絡めても美味しいですよねじゅるり
と自分の妄想によだれを垂らしながら答える私。
鮮魚コーナーのお姉さんは結構若かったが
英国人にしては珍しく料理が好きらしく、調理法についていろいろ聞かれ盛り上がった。
そして本日。
ちょっとした用事を済ますためT社に立ち寄ったところ
またしても鮮魚コーナーに私の愛しの生イカがご鎮座なさっていた。
早速ショーケースの前でわき目も振らず献立の妄想を膨らませていると、前回のお姉さん登場。
私を見るなり
「さ、今日は何匹行っとく?」
と満面の笑みである。
結局前回はどうやって食べただの今日はどうするつもりだのと
イカを挟んで無駄に盛り上がってしまった私達。
「今日は中に米を詰めてイカ飯にするかそれともアヒージョにするか迷ってます」
と言えば
「米!!なにそれ斬新!新しい!めっちゃ良い!やってみるわ!」
とお姉さんもノリノリであった。
思えばこの国に来て
誰かとレシピに関して会話のキャッチボールが出来たのはこれが初めてである。
ちなみに帰ってこの話をグラニーにしたところ
「この町に他にイカを食べる人はいないから、貴方たちだけで全部独占できるわね。」
と大爆笑された。
美味しいんだけどな、イカ、と思いつつ、確かに飛ぶように売れられても困るので
これからもひっそりと影で堪能できれば良いやと思う今日この頃である。