ところで今回帰国した際私が来ていたジャケットは

実はグラニーの娘ジルのお下がりだった。

9月頃、寒い寒いと嘆いていた私を見かねたグラニーが

物置からジルの学生時代のものを発掘して譲ってくれたのである。

シンプルできちんとした黒のジャケットなので下に着る服を選ばず

特に仕事に行く際に重宝しているのだが

このコートがそれはもうばぁばのお気に召さなかったらしい。


「こんなイギリスもんのコートなんか着て・・・」


「ぱっと見で安物ち分かるようなデザインやね」


と散々嫌味を言われたのだが、

なんだかんだで一日80回くらいぐちぐちと叱られたのが

「もんちゃん!きちっと上着の前を閉めんとつまらんばい!!」

(閉めなきゃいけません)

であった。

このジャケット、前がファスナーになっているタイプで、

私は鎖骨辺りまでしかこのファスナーを上げていなかったのだが

とにかくそれがだらしないとばぁば激怒。

挙句、とうとう最後には無理やりファスナーを一番上まで上げさせられた。


ファスナーが襟のところまで付いているタイプなので

全てあげると襟が真っ直ぐ上に立ち、まるで学ランのようになるのだが

間違いなくそうやって着用するとことを想定したデザインではないので

恐ろしく、ダサい。


ファッションなど何一つ分からない私が見ても、

身の毛もよだつ程に、ダサい。ただただ、壮絶に、ダサい。




私 「ばぁば!ごめん!いくらなんでもこれはない!!こんなあほみないな格好で外に出るくらいなら
私はいっそパジャマで外に出ることを選ぶ!!!」

ばぁば 「もんちゃんはまだ若いから物事の良し悪しが分かっとらんとよ。なんもダサくないばい。」

私 「いや、もう私、『ダサい』という形容詞の擬人化みたいになってますから!」

ばぁば 「なんも心配いらんと!こげんして着るのが洒落もんのすることばい!!!

 「いやーーーー!!!だーーーさーーいぃいいいぃぃいいい!!!!(絶叫)」










ようやく騒ぎを聞きつけた祖父が駆けつけ、なんとか解放される私であったが

この後も

「そんなイギリスのつまらんコート捨てて、ばぁばの買ったコートを着て帰ったらよかろ?」


と主張するばぁばとの壮絶なバトルが

あと4回は繰り広げられたのだった。