予想通り、はじめての1級2次で玉砕したわたし は
何年も英語なんて話してないし、独学じゃ無理かなあ。よし、対策講座のあるスクールで学ぼう!
と、後期のインター は休んで、2次対策のスクールに通うことを考え始めました。
しかし、1次に合格するなんて想像もしていなかったため、情報がまったくありません。2次対策のクラスなんてものが存在するのかも全然わかりませんでした。
時間をかけて調べたところ、自宅から通えるスクールで、2次対策講座も開講しているところが見つかりました。まず見学しようと思って電話をかけると、初回クラスが始まるので、見学者としてそれに参加してくださいと言われました。
当日、まずわたしは玄関でぎょっとしました。スリッパや靴や資料がぐちゃぐちゃにおいてあるのです。不安になりそうな気持ちをおさえ、案内された「教室」に入っていくと、パーティションもなにもない空間に、事務担当のスタッフのデスク(これまた見たこともないぐらい大荒れに荒れています)と生徒用の机といすが並んでいました。
授業が始まっても、スタッフが電話応対する声やパソコンを使う音が丸聞こえです。気が散ってしょうがありません。
おまけに、講師の話す英語がなにかあやしい。
「やっと見つけた2次対策の学校だし……。雑然としてるのは、どんな状況でも集中力を養えってことのはず……だよね」
と自分に言い聞かせ、結局、授業が終わるころには、入学することに決めました。
恋は盲目
とはよく言ったものです。完全に英検1級に恋していたわたしは、正常な判断がまったくできなかったのです。けれど、初めてスクールに足を踏み入れたときに感じた悪い予感は本物でした。
授業は、あらかじめ講師に通告しておいたトピックで生徒が順番にスピーチを披露し、そのつど質疑応答、講評を行うというものでした。
しかし
あらかじめ通告してあるトピックにもかかわらず、講師からの質問はどのトピックについてもワンパターン。
しかも
講評はひとこと。「(合格は)大丈夫だと思います」か、「ギリギリで落ちるタイプですね」の2パターン。
さらに
講師の話す英語がやっぱりあやしい。
講評だけではどうやって自習したらいいのかわからないので、授業後にやり方をたずねてみましたが、具体的なことは何も言ってくれません。本当にこの人は1級を取得したの?そんな疑問さえ浮かんできます。
質問がいつも同じなので、いつしか、クラスは緊張感ではなくマンネリズムの雰囲気に包まれていました。わたしもどんどんやる気がなくなって、スクールへ行きたくなくなってきたのです。
「どうせまたおんなじ質問されて、ギリギリで落ちるタイプですねって言われるためだけに行くなんて」
でも、「夢のためだから」とこころよく入学に賛成してくれたオットの手前、行きたくなくなったとはなかなか言い出せませんでした。
インターに通っていたときは、いくら厳しくても休みたいなんて思ったことはありません。体調が悪くても這ってでも通う気満々でした。講師が発する言葉はひとことも聞き漏らすまい、と気合十分で授業にのぞんでいました。
結局
「ほかの人のスピーチ聞いても、おんなじ質問だし。なら最後に発表できればいいから、1時間遅刻していこう」
と考え、ある日遅刻していきました。
すると、
その日クラス全員が1時間以上遅刻してきたのです。
講師は
「だれもこないので臨時休講かと思いましたよ」
と笑っていましたが、わたしたちはだれも笑いませんでした。お互いに胸のうちを話すことはありませんでしたが、気持ちは同じだったと思います。
その日、わたしはオットに切り出しました。
「今行ってる学校、残り行くのやめてもいい?行ったら、やる気がなくなるから……」
「自分で勉強するの? じゃあがんばって。応援してるからね」
オットはやさしく言いました。すべてお見通しだったのです。
授業からかえってくると、毎週のようにオットに愚痴をこぼしまくっていたうえに、スクールに通い始めてからどんどんわたしの元気がなくなっていったからです。
やめると決めたとき、すでに2回目の2次試験が、2週間後に迫っていました。
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