立原道造の詩集から
分家のH家と本家は並んで建っていた。どちらの庭にもこの風景が広がっていた。
早朝4時ごろスイカくらいの大きさになったウリ科の夕顔をとる。これをお父さんが手慣れた手つきで機械でくるくると2cmほどの幅にむいていく。たたき起こされた子供はその紐の手ごろな長さで切れた先を拾って(くちとりっていう)そろえ、お母さんはそれを干していく。天日で半日ちょっと夕立が来る前まで干したものが一番おいしい。
分家の兄弟を4年間担任した私は農道を右側の家目指していくはずが3回も間違えて本家の庭へ自転車で飛び込んだ。3回目「あれまた隣の弟の担任先生でしたか。どーぞ庭通って行ってください。」本家の奥さん笑いだしたっけ。「すみません。」干瓢のすだれに触れないように自転車を押して移動したものだ。
作りたてのかんぴょうには漂白剤も保存剤も吹きかけていなくても真っ白。鶏肉と甘辛に煮ると舌先でとろりと溶けたし、味噌汁の具にしてもおいしかった。巻きずしの具でしか食べたことのない私は初めて知った。
そう食べる食材でなくなった今はそう多くの家では作っていないようだがちょっと寂しい。
座ってテレビ見ながらお昼食べてる弟君。顎の下に不精髭。
「あらやだ、いつの間にこんなひげ面男になっちゃったの?」
兄貴は今週は夏期講習のかき入れ時。毎日夕方から夜までお仕事だ。


