伊勢平野ではほとんど田植えがすんだが、
今日、伊勢神宮の神田で「御田植初」があった。
田植えも祭典なのである。
3haの広い水田は一面に水がたたえられていた。
そこに御鍬山の新緑が映り込む。空には雲がたれこめていたが、雨はどうやら大丈夫そうだ。水面にはアメンボが波紋を広げている。
神職による祭典は、割合と早くすみ、
田植えが始まった。まずは神宮の奉仕員の作丁(さくてい)が早苗を植える。毎年、いい天気なのだが、今年はことのほか寒い。さぞ水は冷たいだろう。
そして、地元・楠部町の神宮神田御田植祭保存会の奉仕による田植えが始まる。植方と早乙女が交互に並び、手植えをしていく。時折、畦道から玉苗を水田に放り込むと、泥水がはねる。神事だけれど、植えている人々も楽しんでいるように見えた。
笛や太鼓の囃し方が楽を演奏し、のどかに進む。約1時間で祭場田の田植えが終わり、2つの大きなゴンボウチワを合わせる「団扇相撲」がある。
この頃には、取材エリアを離れて、一般のところにいた。隣の小学校の子どもたちが先生と来ていた。「団扇相撲」を見て、「何しとんの?」、手植えの光景は「男と女で植えとる」など、非常に率直な意見を聞くことができた。
関係者と「今年は早いですね」と言葉をかわす。
場所は変わって、近くの神社で、踊り込みが行われる。
いつもより早く森に入ったため、いい位置取りができた。
何度が拝見してきたが、これほどつぶさに見ることができたのは初めてだ。
神職らが参列席につくと、まずは笛方が1人ずつ吹きながら、鳥居前に入ってくる。
太鼓は最初から鳥居前にいる。
そこに踊り方が手に竹扇をもって、やはり1人ずつ所作をしながら、鳥居をくぐり、
左右に分かれていく。さきほど植え方をしていた男性で、着物の裾は泥がついている。腰紐は縄、頭には小さな冠をつけている。
中央に向き合い、整列すると、「ハエヤー、ハエ」と詠いながら、踊る。
しばらくすると囃子言葉の「ハエヤー、ハエ」は、「早く生えろ」だなとわかってくる。
わからないことがあるとすぐに質問してしまうものだが、
その場の雰囲気を感じると、自然とわかってくるものだ。
そして、鼓を持った囃子方が社殿前にいく。鼓に縄を巻きつけると、肩に担ぎ、ひょろけたように立ち上がる。鼓を米俵に見立てているのだ。
そして、また、同じように踊る。
踊り込みが終わると、先ほどのゴンボウチワが運び込まれ、神職がウチワを3ヶ所やぶった後、人々が奪い合う。
色絵がついている紙片を持っていると、お守りになるという。
すがすがしい気持ちになった。
植え方の装束の、「大」の文字はなんだろう。