ずっと見たかった『関心領域』
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ルドルフ ヘス
ナチスドイツを語るときに
触れずにはいられない人物
アウシュビッツ収容所の所長として
収容施設と壁一枚を隔てた場所で
理想的な生活を営んでいた
明るく元気な子どもたち
甲斐甲斐しく家の中を飾る妻
仕事熱心でこどもにも優しい夫、ヘス
家の中のセンスはよく
庭は妻が丹精した花々で彩られる
友達が遊びにきた時の会話は
(ユダヤ人の)歯磨き粉の中から
ダイヤモンドを見つけたわ、とか
(ユダヤ人から奪った)衣装を友達に分け与え
自分は毛皮の皮のコートをせしめている
宝石も 服も いいものは全部ヘス家や
アウシュビッツ幹部がせしめる
ある意味これは退屈なドラマだ
明るく幸せな家庭がいい暮らしをしてる
そこに葛藤はない、というドラマだから
しかし時々差し込まれる
川を流れてきたチクロンBの缶を見つけて
あわてて子どもたちに川遊びをやめさせるヘス
ヘスの妻の母が遊びにきて
その贅沢な暮らしぶりに目を見張る
昔、この母を掃除婦に雇っていた
裕福なユダヤ人夫妻は
アウシュビッツに入れられたという
最初はなんとか暮らしていた母だが
次第に
夜中のガス室から流れて来る匂いや
断末魔の悲鳴に耐えきれず
置き手紙を残して帰ってしまうシーン
ユダヤ人収容者たちがみつけられるように
シャベルの裏に
夜中に作業場にジャガイモやりんごを隠す
ヘス家の使用人 マルタ
ヘスの病死はあと1年後に迫っている
誰もが見えないものは
すぐに忘れてしまうことを知っているから
ラストシーンは現在のアウシュビッツを
早朝掃除するスタッフたちの映像で終わる
スクリーンのこちらで映像をただ観ている私まで
ヘスの側の罪人であることをほのめかされる
そんな映画だった
