てのひらのメモ (文春文庫)/文藝春秋

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母親は虐待死の容疑で裁判にかけられた。
喘息で苦しみ抜いた末にひとりで死んだ息子を、放置して死なせた という事実がそこにある。
ある人が見れば、
己の仕事を優先し、子どもを省みず、あろうことか子供が死んだ日に不倫相手の家を訪れていた母親失格。
ある人が見れば、
夫に先立たれ、仕事も子育ても両立させようと奮闘していたシングルマザー。
医者の子供のそばにいろという言いつけを全て守っていたら仕事にならない。
職場には理解がない。
両親は遠く離れて暮らしており、義母にも頼りづらい。
あの日は、公共交通機関に頼るよりも愛人に送ってもらったほうが息子のところへ早く帰れると思っていたのだー
語り手の福実含め、裁判員の下した判決はー
というあらすじでした。
NHKで映像化もされたようです。
世のお母さんたちが、これをどう思うか聞いてみたい。
私ならどうするか、ここしばらくむーんと考えてます。子はいないけど

ふたつ思うことがあって、まずテーマとしては素晴らしくて、それぞれの視点がよく書けているということ。だからこそこんなに考えてしまう。
ただ小説としては盛り上がりに欠けていて、裁判員のガイド小説みたいだったし、主人公にも感情移入しにくかった。驚きの展開も要らないと思った。
面白かったけどあともう一歩だなぁ、というのがえらそうだけど正直な感想でした。
あの子はかえってこない。
苦しんで死んだ。痰が気管支にびっしり詰まって窒息した。
そばについていればこんなことは起きなかった。
でも、いつもの「このぐらいならおさまる発作」だったから、大丈夫だと思った。
重要な会議があるし。
長くても一時間くらいで終わるから、すぐ帰れば良い。
仕事をしなければいけない。
少しくらいなら、この子は大丈夫。
正解って、あるのかなあ…