セミナーで心に残った言葉から

 

先日、「精神疾患のある親を持つ子どもの支援」に関するセミナーを受けました。
 

 

そこで耳にした当事者の言葉が、今も私の胸に残っています。

 

 

「親のことを毒親と思ったことはないし、なりたくて病気になったわけではない。

誰かが悪いのではなく、みんなが生きやすい世の中になってほしい。」

 

 

周囲は良かれと思って「かわいそう」「毒親だから離れればいい」と言うことがあります。
 

 

でも、実際に親と共に生きてきた子どもたちは、そんな単純な言葉では語れない気持ちを抱えているのです。
 

 

 

その言葉を聞いたとき、私はハッとしました。
 

 

“責めるのではなく、どう支え合うか”という視点が、今の社会にはまだ足りないのかもしれません。

 

 

 

 


ヤングケアラーとは?そして「見えない多数」の存在

 

厚生労働省と文部科学省の調査では、「病気や障がいのある家族、幼いきょうだいなどの世話を日常的に担っている18歳未満の子ども」をヤングケアラーと呼んでいます。

 

 

2020年度の調査では、中学2年生のおよそ17人に1人(5.7%)、高校2年生では24人に1人(4.1%)が該当するとされました。
1学級に1~2人いる計算です。

 

 

けれどもこれは“自分がケアをしている”と答えた子の割合であり、

実際には自分の役割を「ケア」とは認識していない子どもも多くいます。
 

 

「家の手伝いをしているだけ」「うちでは普通のこと」と思っているために、

困っていても声をあげられないのです。

 

 

 

最近では、国や自治体もヤングケアラーへの支援を少しずつ整えています。
こども家庭庁が相談窓口をまとめたり、自治体で体制を整える取り組みも始まっています。
 

 

それでも「自分がヤングケアラーだと気づけない」「どこに相談していいのかわからない」という子どもはまだ多いのです。

 

 

 

だからこそ、“見えない多数”がいる。
そして、もしかしたらあなたの身近にもヤングケアラーがいるかもしれません。

 

 

 


子どもが抱える絶望と想い

 

ヤングケアラーの中には、自らの意思で親に寄り添いケアを担う子どももいます。
 

 

けれども、どれだけ一生懸命支えても、親が良くならなかったり「もう生きていたくない」と口にしたりすると、子どもはこう感じてしまうのです。

 

 

「自分という存在は、親の生きる力になれないんだ」

 

 

ある経験者が語ったこの言葉を聞いたとき、私は胸を締めつけられる思いがしました。
 

 

「自分では何もできない、希望にもなれない」という絶望感。
それは想像をはるかに超える苦しさであり、子どもの存在そのものを揺さぶってしまいます。

 

 

 

支援の仕組みが動き始めても、子ども自身が「助けを求められない」現実があります。
だからこそ、私たち大人が子どもの声にならない気持ちに気づこうとすることが欠かせないのだと思います。

 

 

 


親を責めるのではなく背景を見る

 

学校で子どもたちの話を聴いていると、「少し虐待に近いのでは」と思うケースに出会うことがあります。
 

 

そんなとき、つい「親が悪い」と考えてしまいがちです。

 

 

けれども、そうならざるを得ない事情や、親自身が抱えている苦しさもあるのかもしれません。
 

 

 

「なりたくて病気になったわけではない」という言葉が、それを思い出させてくれます。

 

 

 

地域によって支援体制に差があり、親が十分に助けてもらえていない現実もあります。
 

 

だからこそ「親も支えられていいんだ」と子どもに伝わる姿を、社会全体でつくっていく必要があると感じます。

 

 

 


大人にできる小さな支え

 

「こういう子に対して何ができるのか?」という問いに対して、セミナーの講師の先生はこう答えていました。
 

 

「自分が置かれた場所でできることをすればいい」

 

 

例えば、子どもに「子どもらしく笑える時間」を提供すること。
例えば、親が支えられている姿を子どもに見せること。
 

 

「親にも助けてくれる人がいる」と感じられれば、

子どもも「相談していいんだ」と思えるようになります。

 

 

 

制度や仕組みは少しずつ整ってきています。
けれども、本当に子どもの心に届くのは、日々そばにいる大人がつくる小さな安心や温かさです。

 

 

声をかけることも大切。
でも、それ以外にもできることはあります。
 

 

先生なら一緒に遊んで「子どもに戻れる時間」をつくること。
地域の人なら野菜のおすそ分けやちょっとしたお手伝い。
親戚ならご飯を作ったり一緒に出かけたり…。

 

 

そんな小さな行動が、子どもにとっては「一人じゃない」と感じられる大きな支えになるのだと思います。

 

 

 

私自身も、カウンセリングの場に来てくれた子には、

せめてその時間だけでも無邪気に笑えるように寄り添いたいと思っています。

 

 

 


今日の問いかけ

  • あなたは「かわいそう」「毒親」という言葉を耳にしたことがありますか?それは子どもにどう響くでしょうか?

  • 子どもが「子どもでいられる時間」をつくるために、あなたの身近でできることは何でしょうか?

  • 親を責めるのではなく、支える視点を持つとしたら、どんな関わり方ができそうですか?


     


今日できる小さな一歩

 

子どもが無邪気に笑った瞬間を見かけたら、その笑顔をしっかり受け止めてみましょう。
 

 

「ここでは安心していていいんだよ」という思いを、態度や表情で伝えてみてください。

 

 

 


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