ぼくはいつも、とげると一緒に寝ているんだ。
とげるのトゲトゲが痛くないかって?へいきへいき。ぼくの体のふわふわが、クッションになるからさ。
今朝、とげるが起きる時間に起きなかったので、ぼくは起こしてあげたんだ。
「なんで起こすんだよお!
今から温泉入ろうと思ってたのに!
」
って怒ったんだ。
なんか、そういう夢みてたんだって。
ぼくはかわいそうになった。
だって、とげるほど温泉好きな恐竜はいないからさ。
とげるは丈夫な体を生かして、土木工事のアルバイトをしている。
時には人間が近づけないような、危険な場所で仕事をすることもあるらしい。
だけどとげるは文句ひとつ言わないで働いている。
「恐竜のオレが何言っても、聞いてもらえるわけないだろ」
って言って、黙々と働くんだ。
ぼくはとげるのこと、高倉健さんみたいでカッコイイなあ!って思っている![]()
でも、とげるが温泉を好きなのは、きっといつも疲れているからだと思う。
だからぼく、言ったんだ。
「とげるくん、ごめんね!温泉入るところだったんだね!
じゃあ、ぼくが代わりに、とげるくんが温泉に入る夢みてあげるよ!
ぼく、みたい夢みるの得意なんだよ!
おやすみなさ~い!」
…そう言ってぼくがベッドにもぐりこんだのに、とげるはちっとも嬉しそうな顔をしてくれない。
仕方ないので、またぼくは言った。
「じゃあ、今夜、お風呂に温泉の素入れてあげるよ!
温泉の素入れて、温泉たまご作って、一緒に食べてあげるから!」
…とげるはますます怖い顔になり、こう言った。
「お前の言うことは、いちいちピントがずれてるな。
いいよ、何もしてくれなくって。
一緒にいたら、いつだって温泉気分だ」
そう言ってとげるは、怖い顔のまま仕事に出かけていった。
僕はやっと気が付いた。
そうか、とげるが温泉に入る夢みてたのは、ぼくがふわふわだからだ!
ふわふわであったかくて可愛い僕と寝てたから、とげるは気持ちよかったんだ。
よかったあ、ふわふわで!![]()
ぼくは、自分が可愛いことに感謝した。
ぼくって、自分で思っている以上に、かわいいんだなあ![]()
神様、ありがとう!ぼくをふわふわに創ってくれて!
…そしたら…そしたらね!
神様が、こう言ったんだ!
「かけるよ、とげると一緒に温泉に行ってあげなさい。
とげるはいつも独りで温泉に行っている。
本当は誰かと行きたいのです」
…い、いやです!神様!!!
温泉に行ったら、ぼくのふわふわが濡れてしまって、かわいくなくなっちゃいます!
びしょびしょのぼくって、すっごくブサイクなんです!
ぼくは、かわいいことが一番の取り柄なんです!
「お前はたしかに可愛い。だけど、見た目が可愛いことが、お前の一番の取り柄ではありませんよ」
…そうなの?
ぼくの一番の取り柄ってなに?
…よくわからないよ…
よくわからないけど…
温泉に行こうかな![]()
ちょっと怖いけど、とげるのだめだもんね。
ふわふわじゃなくなっても、とげるはきっとぼくのこと、嫌いにならないよね。
友達だもんね。

