「クマに襲われてからでは遅い」クマ外傷治療の第一人者が始めた挑戦を応援したい | みのり先生の診察室

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5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

私はこれまでブログで何度も、クマによる人身被害について取り上げてきました。

 

 

 


最近のクマ被害のニュースを見ていると、

「またクマが出た」
「また襲われた」

と、あまりにも頻繁に報道されるため、私たちの感覚が少し麻痺してしまっているようにも感じます。

でも、クマ外傷は決して「ちょっとケガをした」というレベルではありません。

今回、医師向けサイトで非常に気になるニュースを目にしました。

秋田大学が、クマによる悲惨な重症外傷を減らすためのプロジェクトを立ち上げ、クラウドファンディングを始めた

 

というニュースです。

私はこの取り組みを、ぜひ応援したいと思いました。

 

 

クマ外傷は「顔・頭・首」に集中する

 

このプロジェクトの中心となっているのが、秋田大学医学部附属病院 高度救命救急センター長で、クマ外傷治療の第一人者である中永士師明(なかえ・はじめ)先生です。

秋田大学の高度救命救急センターでは、過去約30年間に150例以上のクマ外傷患者を診療してきたそうです。

そして直近3年間のデータでは、

・約9割に顔面損傷
・約3割に感染症
・約8割に心理的・精神的な後遺症


がみられたとのこと。

これを読むだけでも、クマ外傷がどれほど深刻なものか分かります。

クマは人を襲う時、顔や頭、首などに攻撃を加えることがあります。

命が助かったとしても、

顔貌が変わってしまう。
視力を失う。
食べることや話すことに障害が残る。
そして、襲われた時の恐怖が心に残る。


治療が終わったら、それで元通りというわけではないのです。


 

 

2025年度、秋田県だけで67人が被害

 

ニュースによると、2025年度は全国的にクマの出没や人身被害が相次ぎ、統計開始以来、最悪の規模となったそうです。

中でも秋田県では67人がクマによる人身被害に遭い、秋田大学附属病院高度救命救急センターにも18人が搬送されました。

さらに驚いたのが、

被害の約8割は山の中ではなく、人間の生活圏で起きている

ということ。

「山に入らなければ大丈夫」

ではなくなっているのです。

住宅地、通学路、農地、生活道路。

私たちが普通に暮らしている場所にクマが現れる時代になっています。

 

 

治療だけでは、被害をなくせない

 

長年クマ外傷を診てきた中永先生だからこそ、たどり着いた答えがあるのだと思います。

それは、

「襲われてから治療するだけではダメだ」

ということ。

どれほど優れた救命救急医療があっても、一度顔面や頭部に重大な損傷を受けてしまえば、完全に元通りにはできないケースがあります。

だからこそ、

「クマに襲われても重症化しにくくする」

そして、

「そもそもクマに襲われないための知識を広める」

この2つが必要なのです。

 

 

 

防具を「特別なもの」ではなく「普段使えるもの」に

 

秋田大学が進めようとしている取り組みの一つが、クマ被害を軽減する防具の開発です。

防炎服や防護衣などを製造している企業と産学連携し、

帽子
キャップ
グローブ

など、日常生活の中で身につけられる防具の開発を進めています。

ここが私はとても重要だと思いました。

どんなに頑丈な防具でも、重くて暑くて高価で、誰も身につけなければ意味がありません。

特にクマが生活圏に出てくる地域では、

「毎日使える」
「子どもでも使える」
「普通の服装の一部として使える」

ということが大切でしょう。

今回のクラウドファンディングでは、試作品の実証試験や改良などにも寄付金が使われます。


 

 

そして最も大切なのが「子どもへの教育」

 

もう一つの柱が、クマに遭遇した時の対応を学ぶ教育です。

クマの生態に詳しい専門家と救命救急医の知識を組み合わせ、クマに遭遇した時の行動や被害を減らす方法を学べる教材を開発。

すでに秋田県横手市では、小学校低学年の子どもたちを対象に、クイズ形式でクマについて学ぶ取り組みも始まっています。

私はここに、とても大きな意味があると思います。

災害と同じで、いざという時になってから知識を身につけようとしても遅い。

日頃から知っているかどうかで、とっさの行動は変わります。

中永先生の言葉が胸に刺さりました。

「今はまだ子どもの被害が少ないが、ひとたび起きれば社会全体の雰囲気も変わる。起きてからでは遅い」

本当に、その通りだと思います。

子どもが犠牲になってから対策を始めるのでは遅いのです。

 

 

「クマをどうするか」だけではなく「人をどう守るか」

 

クマのニュースが出ると、

「クマを駆除するべき」
「いや、クマを殺すな」

という議論になりがちです。

もちろんクマの個体数管理や駆除についての議論も必要でしょう。

でも、その間にも人は襲われています。

今回のプロジェクトは、そうした議論とは別に、

今そこにいる人を、どう守るのか

という非常に現実的な取り組みです。

しかも机上の空論ではありません。

実際に150人以上ものクマ外傷患者を診療してきた医師たちが、

「どうすれば、あの悲惨な外傷を一人でも減らせるのか」

と考えて始めたプロジェクトです。

私は、こういう取り組みにこそお金が集まってほしいと思います。

 

 

 

私もこのクラウドファンディングを応援します

 

クラウドファンディングの目標金額は500万円。

募集期間は、

2026年9月1日午前9時~10月30日午後11時

です。

集まった寄付金は、

防具の試作品の実証試験・改良
クマ被害防止教材の改良・展開

などに使われます。

そしてこのクラウドファンディングは、

 

目標金額に届かなければ寄付金が全額返金される方式とのこと。

つまり、

 

目標金額に到達しなければプロジェクトを進められません。

一人ひとりの寄付は小さくても、多くの人が参加すれば大きな力になります。

クマの多い地域に住んでいない人にとっては、

「自分には関係ない」

と思われるかもしれません。

でも、これからクマの生息域と人間の生活圏がさらに重なっていけば、同じ問題が全国各地で起こる可能性があります。

秋田で開発された防具や教育方法が、将来、日本全国のクマ被害を減らすことにつながるかもしれません。

 

 

「悲惨な重症者をゼロに」

 

このプロジェクトが掲げている言葉です。

救命救急医が治療技術を磨くことはもちろん大切です。

でも最高の結果は、

そもそも救命救急センターに運ばれてくる人がいなくなること。

私は医師として、その考え方に強く共感します。

治療する医療から、
防ぐ医療へ。


クマ外傷を何十年も診続けてきた医師だからこそ始めたこの挑戦。

一人でも多くの人に知っていただきたいです。

そしてこの記事を読んで、

「これは応援したい」

と思われた方は、ぜひクラウドファンディングのページをご覧になってください。


 

 秋田大学「クマ被害から致命傷を防ぐ 研究と教育にご支援を」

 

 

https://readyfor.jp/projects/kuma-emergency

 


寄付することだけが応援ではありません。

この記事やクラウドファンディングの情報をSNSでシェアしていただくだけでも、大きな支援になります。

一人の犠牲者が出てから、

「あの時やっておけばよかった」

と後悔しないために。

未来の命を守るための取り組みを、私は応援したいと思います。

 

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