「アルツハイマー病免疫療法の深刻な副作用は精査されるべきである」という衝撃的な論文が発表されました⬇
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1568163726001431?via%3Dihub
以前ブログでもアルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」で脳出血死が多発しているということを書きました⬇もする高額な薬です。
年間薬価308万円もする高額な薬です。
そんな高額な薬を保険収載して誰が得をするのかって製薬会社だけ。
しかも認知症が改善するならまだいいけれど、脳出血で死亡する人が多発。
私の父はアルツハイマー病でドナネマブ治療を勧められましたが断りました。
この論文は、レカネマブやドナネマブなどのアルツハイマー病に対する抗アミロイド抗体治療について、「効果は控えめなのに、重い副作用の評価が不十分ではないか」と警鐘を鳴らす意見論文です。
ひとことで言うと
レカネマブやドナネマブは「アルツハイマー病の進行を少し遅らせる可能性がある薬」だが、ARIA、脳萎縮の加速、死亡例との関連という重大な安全性問題が十分に検証されていないため、もっと慎重に評価すべきだ
という内容です。
論文を要約します。
背景
レカネマブとドナネマブは、脳内のアミロイドβを標的にするモノクローナル抗体です。
早期アルツハイマー病に対して、米国、日本、欧州などで承認されています。
ただし、この論文の著者らは、これらの薬の効果についてかなり慎重な見方をしています。
報告されている効果は、認知機能低下を「少し遅らせる」程度で、臨床的に患者さんや家族がはっきり実感できるほど大きいかどうかは疑問だと述べています。
さらに、既存薬であるアセチルコリンエステラーゼ阻害薬やメマンチンのほうが、安価で副作用も少なく、効果も同等またはそれ以上ではないか、という立場です。
著者らが問題視している3つの副作用
1. ARIA:脳のむくみや微小出血
ARIA は「アミロイド関連画像異常」と訳されます。
少し難しい言葉ですが、抗アミロイド抗体治療を受けた患者さんの MRI で見つかる異常所見です。
主に2種類あります。
ARIA-E は、脳の浮腫、つまりむくみのような変化です。
ARIA-H は、微小出血やヘモジデリン沈着など、出血に関連する変化です。
論文によると、ARIA は薬を使った患者さんでプラセボ群より明らかに多く見られています。
たとえば、レカネマブでは ARIA-E が治療群で 12.6%、プラセボ群で 1.7%。
ドナネマブでは ARIA-E が治療群で 24.0%、プラセボ群で 2.1%と報告されています。
かなり差があります。
もちろん、すべての ARIA が重症化するわけではありません。
無症状で見つかるものもありますし、MRI 上は時間とともに消えるものもあります。
ただ、この論文の著者らが強調しているのは、
「MRI で消えたからといって、脳組織が完全に元通りになったとは限らない」
という点です。
画像上は改善して見えても、実際には局所的な脳組織障害が残っている可能性があるのではないか、という問題提起です。
2. 脳萎縮が加速している可能性
2つ目の問題は、脳容積の減少です。
アルツハイマー病では病気そのものによって脳萎縮が進みます。
ところが、この論文では、抗アミロイド抗体治療によって、その脳容積の減少がさらに加速している可能性があると指摘しています。
レカネマブでは、18か月後の全脳容積減少がプラセボ群より約37%大きかったとされています。
ドナネマブでも、76週後の脳容積減少は治療群で 27 mL、プラセボ群で 20 mL と報告され、治療群のほうが約35%大きい計算になります。
この数字をどう解釈するかは慎重であるべきです。
アミロイドが減った結果として見かけ上の容積が変化しているのか、炎症や組織障害によるものなのか、病態の進行を反映しているのか、まだはっきりしていません。
ただ、少なくとも「脳の容積がより減っている」というデータがある以上、これは軽視すべきではないと思います。
著者らは、ARIA を確認するために MRI を撮っているのだから、同時に脳容積も定期的に測定すべきだと主張しています。
これは非常にもっともな提案だと感じます。
3. 治療関連死亡の評価が十分なのか
3つ目は死亡例についてです。
レカネマブの臨床試験では、死亡率は治療群とプラセボ群で大きな差はなく、治療関連死亡はないとされました。
一方で、ドナネマブの臨床試験では、治療群での死亡がプラセボ群より多く、重篤な ARIA と関連した治療関連死亡も報告されています。
ここで問題になるのは、「その死亡が本当に薬と関係しているのか」を誰が判断するのかです。
論文では、死亡が治療関連かどうかの判断が、独立した専門家委員会ではなく製薬会社側に委ねられている点を問題視しています。
本当に治療との関係を評価するには、臨床経過だけでなく、神経病理学的な検討も必要になります。
つまり、死亡例についても、もっと透明性の高い独立した評価が必要だということです。
「アミロイドが減った」ことは、本当に治療効果なのか
この論文で興味深いのは、著者らが「アミロイド PET の信号低下」の解釈にも疑問を呈している点です。
抗アミロイド抗体治療では、アミロイド PET でアミロイドが減ったように見えることが、治療効果の根拠のひとつとされています。
しかし著者らは、その PET 信号の低下が、本当にアミロイド除去だけを意味しているのか疑問だと述べています。
炎症や組織障害、血流低下などによって、PET トレーサーが取り込まれにくくなっている可能性もあるのではないか、という見方です。
これはかなり踏み込んだ主張ですが、「画像で良くなって見えること」と「患者さんにとって本当に良いこと」は必ずしも同じではない、という重要な視点を含んでいます。
医師としてどう伝えるべきか
新しい薬が登場すると、どうしても「希望の薬」として語られがちです。
もちろん、医学の進歩は大切ですし、アルツハイマー病の治療選択肢が増えること自体は歓迎すべきことです。
ただ、患者さんやご家族に説明するときには、期待だけでなく限界やリスクもきちんと伝える必要があります。
この薬は、認知症を治す薬ではありません。
進行を止める薬でもありません。
効果は「進行を少し遅らせる可能性がある」というものです。
その一方で、ARIA と呼ばれる脳浮腫や微小出血、脳萎縮の加速、さらには死亡例との関連が問題になっています。
だからこそ、薬を使うかどうかは、単に「新しい薬だから使いたい」という判断ではなく、
どのくらいの効果が期待できるのか
どのくらいのリスクがあるのか
本人の年齢や全身状態はどうか
抗凝固薬や抗血小板薬の使用はあるか
定期的な MRI 検査を受けられる体制があるか
異常が出たときに適切に対応できる医療機関か
といった点を含めて、慎重に考える必要があります。
まとめ
アルツハイマー病の治療では、患者さん本人だけでなく、ご家族の思いも大きく関わります。
だからこそ、「新薬」「アミロイドが減る」「進行を遅らせる」という明るい言葉だけで判断するのではなく、効果の大きさと副作用の重さを冷静に比べることが大切です。
医療において本当に大切なのは、数字上の改善だけではありません。
患者さんにとって、その治療が生活の質を高めるのか。
家族にとって、納得できる選択になるのか。
そして、リスクを理解したうえで選べる情報が十分に提供されているのか。
この論文は、私たち医療者にその基本を改めて問いかけているように感じます。
また年間308万円もする高価な薬であることも忘れてはなりません。
しかもそれが保険適応になっているわけだから公費が使われている。
費用対効果があるのかどうか以前の問題です。
こんなに高い薬を使って死亡した・・・なんてことになると本末転倒。
ワクチンにしろ、治療薬にしろ、ベネフィットだけでなくリスクもきちんと説明すべきです。
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