母は散歩のたびに

 

車椅子を押す私が大変だろうと配慮して

 

「もうええわ。押すんえらいやろ。もういのう」

 

帰ろうとなんども言います。

 

ところが今回はそれを忘れた。

 

この日の気温は23度。

 

風も強くて寒いくらいでした。

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「寒いわ。もういのう」

 

一度は帰ろうと言ったんですが

 

膝掛けをひろげて胸をカバー。

 

「これなら寒うない」

 

ということで散歩継続。

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セイタカアワダチソウが綺麗だと言う。

 

昔はものすごく嫌っていたんです。

 

荒廃の象徴みたいに思っていたらしい。

 

今はそれを忘れ

 

セイタカアワダチソウ=外来種というのも忘れ

 

「花が綺麗や」

 

見とれている。

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車椅子を押しながら

 

母のなじみのスーパーが閉鎖になったこと

 

親友だった女医さんの病院が閉鎖されたこと

 

地区の幼稚園が子供不足で閉鎖になること

 

あの人もこの人も施設に入って

 

住み手のいない家が増えたこと

 

そんな報告をしていたら

 

母は完全に気を取られて

 

頭の中が20年以上も昔に戻ったらしい。

 

接続ミス発生。

 

別回路につながってしまう。

 

帰ろうと言うのをコロッと忘れる。

 

なので私もせっせと歩き

 

亀鶴公園まで行きました。

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頭の中は20年前だから

 

亀鶴公園も初めての場所。

 

初めて見たように縁起の文章を音読。

 

「応神天皇とな。古いのう」

 

初めて知ったみたいに感心している。

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何度も来ているのに

 

「まあ、ここが亀鶴公園な」

 

名前だけ知っていた公園。

 

初めて訪れたつもりらしい。

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「あれは池な、川な」

 

「池や」

 

「あの山は何な」

 

「あれは島や。亀島いうんや」

 

亀鶴公園を知らなかった昔にもどっている。

 

う~ん

 

母の脳内は

 

時空を超えて過去と現在を行き来する。

 

頭の中でどういう反応がおきているのか。

 

これを認知症と呼ぶのでしょうが

 

時間が空白になってしまい

 

ここ数年の体験が完全に消えてしまう。

 

目の前でソレを見せられて

 

なんだか不思議な気分です。

 

明日は我が身なのだけれど。。