By Antony Currie


[ニューヨーク 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] 米連邦準備理事会(FRB)は、大手米銀19行に対して実施したストレ ステスト(健全性審査)で適切なさじ加減を見せた。1年前と違って今回は、金融システムにおける玉石を見分ける上で有効なデータを投資家により多く提供し ている。また銀行の十分な自己資本を確保する上で極めて慎重に振舞っている。


ストレステストのシナリオが極端だったことを考えれば、結果は予想よりも良好だった。今回は銀行が、失業率が13%で、株価は50%下落、 住宅価格も20%落ち込む事態になっても十分な資本要件を満たすことが必要とされた。このため投資家は、復配や増配、もしくは自社株買いが認められるのは 数行だろうと想定していた。


しかし実際には15行が健全だとのお墨付きをもらい、JPモルガン・チェース(JPM.N: 株価 , 企業情報 , レポート )を皮切りに、余裕資本を稼動させる計画の発表が相次いだ。それでもバンク・オブ・アメリカ(BAC.N: 株価 , 企業情報 , レポート )はそうした計画を申請せず、リージョンズ・ファイナンシャル(RF.N: 株価 , 企業情報 , レポート )は、この機会を生かして逆に9億ドルの増資を実施することを決めた。


さらに不合格だった4行も警戒すべき要因にはならないはずだ。シティグループ(C.N: 株価 , 企業情報 , レポート )は合格しなかったといっても、ぎりぎりの落第だった。シティのバランスシートに不具合はほとんど見当たらない。またパンディット最高経営責任者(CEO)にはいくつか手掛けている案件があり、例えばモルガン・スタンレー(MS.N: 株価 , 企業情報 , レポート )に合弁の資産運用会社におけるシティの持ち分を買い取ってもらって100億ドルを捻出する計画が、FRBの承認待ちになっている。


残りの不合格行であるアライ・ファイナンシャル、保険のメットライフ(MET.N: 株価 , 企業情報 , レポート )、サントラスト・バンクス(STI.N: 株価 , 企業情報 , レポート )にとっては、今回の結果は不服かもしれない。ただFRBは、これらの銀行に経済と市場が比較的安定している局面でさらに内部留保を厚くするよう迫ることで、金融規制改革法におけるマクロプルーデンス監督機関としての責任を全うしようとしている。


もっとも銀行の株主は調子に乗り過ぎてはいけない。今回のテストは銀行のバランスシートが相対的に頑健であると証明したかもしれないが、ほとんどの金融機関は資本コストを稼ぎ出せていないのだ。つまりJPモルガンやゴールドマン・サックス(GS.N: 株価 , 企業情報 , レポート )でさえ、株価純資産倍率を1倍より高くするのに四苦八苦している。


もちろんこの点はFRBの関心事ではない。FRBは、次の金融危機を防ぎ続けたいと望んでおり、今回のテストにおける透明性の高さはそうした事態を確実にする上で役に立つ。


http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE82D03I20120314