米連邦準備理事会(FRB)は市場にとって全能であろうとしている。問題なのは、そうしたFRBがいったん介入を始めたら、重要なマーケットシグナルが機能不全に陥るのを恐れるあまり、継続を余儀なくされる危機にさらされることだ。
米連邦準備理事会
AFP/Getty Images

米連邦準備理事会(ワシントン)

 FRBが継続している国債の買い入れを例に取ろう。FRBが購入する国債の大半は通常国債だ。景気を支えるとともに、すでに目標レンジを下回るインフレ率がさらに低下するのを阻止することが目的だ。しかし、こうした行為は、インフレ指数連動債(TIPS)が発するインフレ期待シグナルを歪めるリスクがあ る。投資家とFRBは、通常国債とTIPSの利回り格差を用いて、5年、あるいは10年先のインフレを市場がいかに予想しているかを知る。

 FRBが買い入れを通じて通常国債の利回りを押し下げる一方で、TIPSに手を触れない場合、インフレ期待は実際より低いように見えることになる。インフレ率を押し上げたいFRBの望みに反するものだ。

 FRBがTIPSを放置すれば、FRBはTIPS市場を気に掛けていない、との誤ったサインを投資家に送るかもしれない。さらに憂慮されるのは、インフレ期待シグナルに対する投資家の信頼感を損ない、指標として役に立たなくなることだ。

 こうした理由から、FRBはTIPSも購入している。1つを歪みを、もう1つの歪みで相殺しようという算段だ。FRBは28日、約5億5000万ドル相 当のTIPSを買い入れた。しかし、FRBの購入がなかった場合に見られたはずの関係性を再現するのに、どの程度の買い入れを行うべきかを決めるのは困難 だ。バークレイズ・キャピタルのTIPSストラテジスト、マイケル・ポンド氏は「魔法の公式など存在しない」と述べた。

 通常国債とTIPSの真の利回り格差を探るために、FRBが作った歪みの間を読まねばならない「アリス・イン・ワンダーランド」の領域に投資家は置かれている。

[ハード・オン・ザ・ストリート(Heard on the Street)は1960年代から続く全米のビジネス・リーダー必読のWSJ定番コラム。2008年のリニューアルでアメリカ、ヨーロッパ、アジア各国に 駐在する10人以上の記者が加わり、グローバルな取材力をさらに強化。刻々と変わる世界市場の動きをWSJ日本版でもスピーディーに紹介していく]

(9月30日 WSJ)

これだけではない。まだ色々やっている(苦笑)