アロスタティックロードとは何か?
〜頑張りすぎが体をこっそり壊すという仕組み〜
(つづき)
「疲れが取れない」「なんかずっとだるい」
「休んだはずなのに、回復しない」。
これらは皆さんおわかりの通り、
体が「頑張りすぎて疲弊している」サイン。
3. 適応が終わらないという問題
・休めない。
・緊張がずっと続く。
・常に「対応モード」のまま。
体は毎日、
ホルモンや神経をフル回転させて
ストレスを乗り切ろうとします。
でも、その努力が報われずに持ち越すと
体に少しずつ疲労が蓄積します。
これがアロスタティック・ロード(allostatic load)です。
別名、アロスタティック負荷。
ストレスそのものではなく、
「対応し続けた結果、体に残った摩耗・疲弊」
のことです。
4. 体の中で何が起きている?
アロスタティック・ロードが高くなると、
・自律神経のオンオフが切り替えにくくなる(ずっと緊張モード)
・ストレスホルモン(コルチゾール)がずっと高いまま
・体内の炎症がコントロールできなくなる
・血圧や血糖が不安定になる
・免疫が弱くなりやすい
これらが一つじゃなく、
複数のシステムが同時に疲弊するのが特徴。
だから、検査で異常なしなのに、
「なんかずっと疲れている」「回復しない」
などこ状態が続きます。
5. 真面目な人ほど不調になりやすい!?
・責任感が強い
・我慢強い
・休むのが苦手
・「もう少し頑張ろう!」と思ってしまう
こういう人は、実は適応能力が高いからこそ、
体が「もう大丈夫だよ」と言っても、
自分を休ませずに頑張り続けてしまう。
結果、摩耗がどんどん溜まっていきます。
弱い人ではなく、
むしろ強い人だからこそ、
気付かないうちに無理をして消耗していることが多いんです。
6. 病気になる前に体が出すサイン
アロスタティック・ロードが高くなると、
病気と診断される前に体はサインを出しているはずです。
皆さんどうですか?
・寝ても疲れが取れない
・集中力が続かない
・些細なことでイライラ・消耗する
・気分が沈みがち
・慢性的なだるさ・重さ
これらは気のせいじゃありません。
体全体が「もう限界近いよ」と教えてくれているサインです。
7. どうすればいい?
アロスタティック・ロードを下げる一番の方法は、
「頑張りすぎない生き方」
を少しずつ取り入れることです。
・休むことを後回しにしない
・完璧を求めすぎない
・小さな「いいえ」を言ってみる
・睡眠・運動・人とのつながりを大切にする
これらは「根性」や「気合い」ではなく、
体の仕組みを守るための科学的な選択なのです。
体は、
限界まで対応できるようにできているから頑張れる。
だからこそ、
「少し休んでもいい」「無理しなくていい」
と、自分に許可を出してあげることが、
最初の予防医学の入り口です。
あなたは今日、
どんな小さな休みを自分にプレゼントしますか?
ゆっくりでいいので、少しずつ。
参考文献
・McEwen BS, Stellar E. Stress and the individual. Mechanisms leading to disease.
Archives of Internal Medicine. 1993;153:2093–2101.
・ McEwen BS. Protective and damaging effects of stress mediators. New England Journal of Medicine. 1998;338:171–179.
・Juster RP, et al. Allostatic load. Psychoneuroendocrinology. 2010;35:2–16.
・Seeman TE, et al. Allostatic load as a marker of cumulative biological risk. Proceedings of the National Academy of Sciences. 2001;98:4770–4775.
・ Guidi J, et al. Allostatic load and its impact on health. Psychotherapy and Psychosomatics. 2021;90:11–27.
