世界のジャッジの変化 2 | @DAVID

世界のジャッジの変化 2

 
 
当時の上位のランキング選手にEメールを送った僕の裏アンケート工作によってどのように変化したのか?というと、まず、ブラジリアンジャッジが三人から二人に減った。
 
 
次に、ボードがクラシックのシングルフィンであれ、軽量のハイパフォーマンスのボードであれ、凄いことをやった選手には高い点数をつけるとのジャッジ説明会がASPのロング史上ではじめて、ホテルの大広間で行われた。
 
 
ただ、そうは言ってもジャッジスタンドが遠い場合などはノーズライディングは派手さがなく見えにくいし、ショートボード並みのラウンドハウスは目立つし、波の上にバンバンボードが出てくるリッピングの方が派手で、ハイパフォーマンス系に高得点がつくジャッジングは続いた。
 
 
ようはノーズとラウンドハウスカットバックとリッピング、全部を一つの波でやればいいんだろ!ということになり、ノーズ20%、リッピング80%時代から、ノーズ50%、マニュバー50%ということにおさまった。
 
 
それを見事にやった人物がテイラー、ジェンセン。
 
 
彼の出現は、ベテラン組を大いに驚かした。
 
 
それは何かと言うと、90年代は軽いボードであれだけ正確にコンスタントにハングテンをかました選手はいなかったからだ。
 
 
軽いボードでいくらリッピングしようとコンスタントにハングテンする選手はいなかったのである。
 
 
軽いロングボードでのハングテンは、足首の強さや体感の強さが必要なのと、ボードも重要。
 
 
テイラーのボードは少しノーズがとんがっていてノーズ幅もあるボードで、ハングテン時にノーズから40センチぐらいのところからレールが水面に入り、それが5センチぐらいの小さいフィンの役割をして、ボードをナイフィングしてコントロールしやすくなる。
 
 
ハングテン時にノーズのエラが水面に入らないことにより、スピードが変わらず、レールがホールドしてくれて、コントロールしやすくなると言えばいいかな。
 
 
ノーズが丸いとノーズのエラに水がひっかかり、少し失速を招くのと、水が足にあたったりと、ボードが波の前に綺麗に走りにくくなる。
 
 
それとナイフィングとは、レールを波の面に入れることで、よくパイプラインをバックハンドでやる人達がテイクオフと同時にグラブして、波の面をナイフで切るようにナイフィング、ナイフィングと言うよね。
 
 
レールが波の面に食い込む事で、ボードのデッキが安定し、足裏から伝わる揺れ幅もなくなり、ボードが安定するということだ。
 
 
ここだけの話、じつはあのジョエルもテイラーの出現によってジャージを脱いだ。
 
 
まぁ、ジョエルは究極の負けず嫌いだから絶対に認めないけど笑。
 
 
僕はその時もジョエルと一緒にフランスのビアリッツの堤防から二人でテイラーのサーフィンをみていて、ああー、これはもう、かなわないなぁーという悲しくも、潔くも見える神妙なジョエルの横顔が今でも忘れなくて、『 ほらデイヴィッド、あいつ10点出すぞ、あー最後にしくったー 』と、何やってんだと、潔くテイラーを認めていたが、表情は悲しげだった。
 
 
この時に僕は悟った、これ、ジョエル、試合から引退するなと。
 
 
実際、その後数年、バンズのU Sオープン以外では勝てなくなり、2005年のハンティントンの優勝を最後に彼はジャージを脱いだ。
 
 
その優勝の日の夜、王者の引退パーティーに何故か?数年ぶりにカリフォルニアを訪れた僕はたまたまサンディエゴのダレンの家に泊まっていて、いきなり、夜、おら!お前ら今から俺んちに来てビールを飲むぞ!早く来い!と言われ、慌てて行ったら、そこにいた選手はジョエルとダレンと僕のみだった。
 
 
ジョエルは自分が引退するとは僕たちには言わなかったが、僕には彼の目を見てわかった、たぶん、このU Sオープンで有終の美を飾ってやめるということを。
 
 
実際、その通り、彼はあのU Sオープンを最後にジャージを脱いだ。
 
 
それほど、テイラーの出現は、ベテラン組に世代交代の一矢を放った。
 
 
つづく