
たまーにスリッパのまま外出してしまうdapandaです。
去年の秋頃だったでしょうか、
運営しているwebサイトでカメラマンを募集したところ、
下記のような方から応募がありました。
(プライバシー保護のため一部構成して記載しています)
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<経験>
写真歴は5年程度、映画製作をするために写真を撮って勉強してきました。
こだわりを持った写真を撮り続けています。
<特技>
物の見方や捉え方が日本人にはないセンスがあり、ユーモアや感性が豊かです。
<機材>
カメラ1台、レンズ2本
<プロフィール>
都内在住のフランス人です、まだ日本語は読み書きも会話も出来ません。
英語は日常会話程度であればOKです。
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うちの求人募集要項には、
必要条件に「業務での結婚式撮影経験者」という条件があるのですが、
8割方経験がないのにへっちゃらで応募して来られます。
まあその時点でアウトなんですけどね。
ただ業種が業種だけに一抹の可能性があるかと思って、
色々と良いところを探そうと努力はしています。努力は('A`)
結婚式の撮影はサービス業的な要素や撮り直しが聞かない等、
特殊な撮影ですので、他分野で撮影経験があってもなかなか難しいのがこの結婚式撮影。
趣味的、もしくは土日の小遣い稼ぎ的な雇用でもOKな写真会社もありますが、
うちではそんな姿勢はあたりまえの如く言語道断なわけです。
今回カメラマン求人に応募されてきた方は、
日本人の奥様が代理で募集されて来たようです。
文体から察するにフランス人を売りにしてきたようですが、
カメラマンは「結果」が何より大事です。
機材も結婚式撮影には到底無理な機材。
そして日本語の会話や読み書きが出来なければ、
新郎新婦とのコミュニケーションも取れないわけです。
さすがにこれでは結果どころか当日の撮影も難しいので、
丁重にお断りさせていただきました。
そして先日約1年越しでこの奥様から再び連絡がありました、
時差があるのでしょうかね('A`)
「日本語は日常会話と簡単な文字の読み書きは出来るようになりました!!」
(( ゚д゚ )まるでお子様の成長記録のような感じが素敵です)
「レンズを数本買いました!!」
(( ゚д゚ ) それ以外の機材もたくさん必要です)
「最近人物を撮るようになりました!!」
(( ゚д゚ )最近???)
なので会って作品を見てほしいということでした。
相変わらずの内容に正直いって閉口でしたが、
もうメールや電話では収拾がつかないと思い、
直接会ってお話しをすることに。
なにか可能性が残っているかも知れませんしね。
あとは好奇心が僕を…('A`)
彫りの深い美男子を前に、
名刺を出して「初めましてdapandaです」少しカタカナ気味話しながら渡すと。
「ドウモーハジメマシーテ○○○デス」と挨拶だけをいただきました。
欧米的なビジネスマナーなんでしょうかね('A`)
それでそのフランス人のカメラマンと色々会話をしますが、
奥様が通訳して旦那さんに耳打ちしています。
( ゚д゚ ):あれ? 日本語は出来るんじゃなかったでしたっけ?
奥様:日常の挨拶会話程度でしたら…。
( ゚д゚ ):ハジメマシテ&コンニチハ&アリガトウとかですか?
奥様:はい…。
( ゚д゚ ):…。それで日本語の文字の読みとかも出来るようになったんですよね?
奥様:はい!
というわけで、友人の結婚式の披露宴進行表を試しに読めるか持参しました。
それを見て読み出す、旦那さんではなくて奥さま。
奥様:えーと、新郎名○○さん新婦名○○さん、会場名○○…。
( ゚д゚ ):あ、あの…奥様が読めても…。旦那さんは読めないんですか?
奥様:日常の挨拶程度でしたら…。
( ゚д゚ ):それはもしかして、ハジメマシテ&コンニチハ&アリガトウとか?
奥様:はい…。でも実際の撮影には私も同行しますから問題ありません。
( ゚д゚ ):通訳付きのカメラマンですか…。それで機材は買い足されたようですが、
実際に撮影するにはまだまだ必要なものがあります、いつ頃揃えられる予定ですか?
奥様:お仕事をいただきながら揃えていきたいと思っています。
Σ(゚д゚|||):???(ということは当面このままのつもり?)
もう疲れてきたので帰ろうかと思い話をまとめはじめた時、
そういえば作品を見ることを忘れていることに気づきました。
きっと会ってからずっと続いているインパクトを超越するような作品に違いない!
と勝手に妄想し、作品を見せてもらおうとファイルを開くと。
どこかの町並みと猫と花のモノクロ写真。その3枚だけでした。
正直言ってフツーです。
でも、旦那様と奥様は「ほら!どうだ!!」といわんばかり表情。
何だか妙なプライドの誇示です。
モノクロ写真って白と黒のモノトーンなので、
カラー写真とは違い色で表現できないので、
構図や配分などが良い写真になるかの分かれ目なんです。
彼の作品はただモノクロで撮ってみましたという感じでした。
モノクロ写真ってパッと見、プロっぽく見えますからね。
これは写真を始めた方に見られがちな盲点のひとつです。
3枚な上にフツーの写真。
日本語のコミュニケーション不可。
今現在の彼の可能性は僕の単なる妄想だったようです。
なんと答えて良いのかわからず寡黙になっていると、
奥様は写真に見とれていると思われたのか、
奥様:それでいつ撮影に行けばいいんですか? ギャラは二人分?
と聞いてこられました。
どうやら奥様にも通訳は必要なようでしたね('A`)
奥様がフランス人の旦那さんに、
カメラマンとして仕事をさせたい気持ちはわかるんですけどね。
言葉は通訳したとしてもその機材とその写真では、
この夫婦のアイデンティティは満足させるかも知れませんが、
撮られている新郎新婦は満足しないと思います。
プロカメラマンとは趣味写真とは違い、
カメラマンの自己満足や主張だけでは成り立たないものです。
特に結婚式はお二人の思いがつまった大切なもの。
新郎新婦のニーズを伺いお二人とカメラマンとで一緒に作り上げるものですからね。
ですので、この夫婦にはまだまだその地点にはほど遠いいのかも。
なので「今はとにかく機材を揃えて、そして写真をたくさん撮って下さい」
まずはそこからだと思いましたのでとだけアドバイスして帰りました。
その奥様の顔は(プロカメラマンの旦那に向かってなんてことを!)
って感じでしたけどね。
でも写真を撮るのにまず大切なのは、プライドではなくて"感じる心"ですから。
もちろん僕も、そしてプロのカメラマンなら誰もが通って来た地点に彼は立っています。
乗り越えるか立ち止まるかは彼次第です。
数年後にでも外注で行った先の結婚式の会場で、
プロカメラマンとしての彼に偶然彼に出会えるといいなー。
なんて思った秋の午後でした。