本文とは関係ありません

ある日の結婚式、いざ披露宴開宴というときに
披露宴会場を見渡すと何やらいつもと違う雰囲気。
新婦のご親族席にご両親は元より誰もいません。
3テーブルがまるっきり空いてしまった状態です。

いたしかたなく、そのままの状態で披露宴は進行され、
ケーキカット、乾杯と進みます。
「これって今まで育てて両親に一番見て欲しかった姿だよね」
なんて思いながら、撮影をしていました。

中座の際に「よろしければ」という感じで、
皆様がいらっしゃらない理由を伺ったところ、快く話してくださいました。

どうやらお二人、俗に言う「かけおち」らしいのです。
新婦家は伝統のある文化を継承するお家柄、
はるか昔からその縁故関係で嫁ぎ先を決めていたのだそうです。
しかしながら結婚した新郎は縁故関係ではなく、気心しれた幼なじみ。
当たり前のごとく反対され、
ご両親から「結婚するなら勘当する」と一言言われ、
「家柄で色々と今までは従ってきたけど、結婚相手だけは従えません」
とその場で家を飛び出てきたようです。

その後新婦は晴れ姿を見てもらいたかったようで、
「今まで大切に育ててくれた父や母、親族にも招待状を出したのですが
やっぱりきてくれなかったですね」
とため息をつく新婦に新郎はやさしく肩をたたいて気遣います。
「楽しもうね」と新郎が声をかけて控え室を出ました。

次はキャンドルサービスにて再入場です。
新郎新婦より一足先に披露宴会場に入ります。

入って、ふと親族テーブルーに目をやると、
ご両親席に座っていらっしゃる方がいます。
もしやとスタッフに確認するとご本人の様子です。
ご両親お二人だけですが、
新婦の晴れ姿をやはり見に来てくれたようです。

何も知らない新郎新婦、再入場のため披露宴会場の扉が開きます。

扉が開いた瞬間お互い目が合い、
驚きと喜びで泣き崩れるご両親と新郎新婦。

無言でお父様が新郎に手を出し、
「よろしくな」というアイコンタクトでお二人は固い握手をされ、
その後ご両親はすぐに帰られました。

披露宴会場の扉が開いたときに、ご両親の表情も見ていたのですが、
それまで無表情だったお父様が、新婦の晴れ姿見てふと見せた素敵な笑顔。
純粋に娘を見つめる父親の目をされていましたね。

やわらかな風が吹いた結婚式でした。