なんだか最近はミーハーな読書してます(笑)直木賞受賞の『流』を読みました。作者が台湾出身の人で、自身のルーツを題材にした、という点につい惹かれて。
作者の東山彰良さん、ミステリーで既に有名な方だったみたいですね。
東山彰良さん(中国語名は王震緒)は外省人(第二次世界大戦末期からそれ以降に中国大陸から台湾に渡ってきた人たちとその家族)で、『流』に出てくる祖父は自身の山東省出身の祖父がモデルだそうです。北野武映画も真っ青な暴力エピソードだらけだけど、作家本人のインタビュー記事読んだら「ほぼノンフィクション」と言ってたのでたまげた。
じいちゃんが戦争中に大陸でやらかしたこと(抗日戦争の一環で、数人で村ごと数十人殺したとかなんとか…)の記念碑が、本当に大陸に存在していたらしい。
ぜひ日本の若い人たちもこれ読んで台湾と中国大陸の歴史を勉強してほしいわ~(映画化したらR18指定になりそうな小説ですけど。笑)
歴史とか政治の背景は文中でさりげなく、かつ、ちゃんと最低限の説明がされているので、エンターテインメント小説を楽しみながら学べちゃう…と思います(笑)。
そんなじいちゃんと家族の過去の謎と、主人公の青春と恋、大人になってからの人生の哀感が絡まって、とっても美味しい料理みたいになってます。全体的に苦味の効いた、かなり大人の味ですが。
眷村(国民党について台湾に来た兵隊さんやその家族が住んでいる一角。みなさんもうかなり高齢なので、眷村も消えつつある)のお年寄りたちは本当に苦労してきたんだろうな…
私のおばにも、旦那さんが、14歳ぐらいの頃国民党について台湾に流れ着いて、家族も故郷の名前も覚えていない、という人がいました。四川省のあたり、ということしか。最後まで故郷に帰れないまま亡くなりました。どんなに心細かっただろうか、と想像もできませんが。
かといって、じいちゃんとその友達みたいに故郷がはっきりしていても、政治的事情で行き来はできなかったし、1980年代終わり頃から行き来できるようになっても、最初は「何かのワナじゃないか」とじいちゃんの友達たちは警戒してなかなか故郷を訪れなかった、という感じだったのですよね。
本省人(第二次世界大戦以前から台湾に住んでいる人)も外省人もみんなそれぞれ大変な歴史があったんですけどね。