大学生の頃、学校の中庭で本を読んでたら‥何やらじいさんが話しかけてきた。

何を熱心に読んでるのですか?

その時は古本屋で百円で買った『中原中也詩集』

じいさんは‥付属の短大の社会学の非常勤で、中原中也のファンだったあせる

何故か気が合い、その晩‥飲みに行く約束をしたら‥行き着けの居酒屋が同じで‥ツケが貯まってたその居酒屋に飲みに行った。

それからしばらく、殆ど毎晩、飲みに行き、そこにはいつもじいさんが居て‥僕の飲み代まで支払ってくれた。だけど、それを目当てにしていたのも確かだ。

僕は自分のバンドの事を話し、じいさんはニコニコしながら聞いていた。
じいさんはランボーの詩集を貸してくれて、僕は酔った頭で一生懸命に理解しようとしたし…じいさんは、僕のバンドのデモテープを家で聴いてたらしい。

しばらくして、夏休みに実家に帰省した後、またいつもの時間に居酒屋に行ったら…マスターが言った…『先生は亡くなったよ』

どこに住んでいたのか‥家族は居たのか…誰も知らない。ただ、1人で看板まで酒を飲み‥翌晩、中庭に中原中也の詩集を埋めた。


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汚れちまった悲しみに‥今日も風さえ吹きすぎる。