退院の日、病室で手続きと会計を済ませて病院を出る時、


棺に白いレースのおくるみをかけて、


腕に抱いて車に向かいました。




外来の待合室を通って、エントランスから出ました。




外来はこれから生まれてくる赤ちゃんを待つ幸せそうな妊婦さん、その旦那さんたちであふれているように見えて、



とても辛くて



背中を丸めて



棺を体全体で隠すようにして病院を後にしました。



外来にいた方たちの中にも、私には想像もつかない辛い思いを抱えている人たちがいるかもしれません。


でもそのときは、私たちだけが取り残されたような、別の場所に放り出されたような気持ちになりました。




入院中は長男(1歳半)は私の母が見てくれていて私は会っていなかったので、帰ったらきっと飛びついてくるだろうと想像していました。



自宅に到着して、玄関を開け、リビングに入っていくと、


息子がいました。



私が名前を呼んで近づこうとすると・・・



みるみる泣き顔になり、



母のところへ・・・



そして母の後ろに隠れて私をチラッと見ました。




数秒後、ようやく私を思い出したのか、笑って抱っこさせてくれましたが、



こんな数日で忘れられてしまうものなのか。


子供なんてこんなものか、と思ったら


なんだかおかしくて笑えてきました。




長男には感謝感謝です。



それから赤ちゃんを棺から出して、長男も赤ちゃんに興味津々で触ろうとしたりしてとめられたり、

みんなで記念撮影をしたりして和やかに過ごしました。



夜は誕生日ケーキを買ってきて、ろうそくに火をつけ、赤ちゃんの誕生を祝いました。



長男を寝かしつけた後、



みんなで撮った写真をコンビニでプリントしてきて、棺の中に入れました。


写真の裏には、これがお母さん、これがお父さん、これがお兄ちゃん、、、と名前を書いて、


いつか天国で会った時に顔を見て分かってもらえるようにと願いを込めて。




部屋の温度はクーラーで冷やしてとても低くし、



この夜は家族四人で一つの部屋で寝ました。



愛しくて、さよならするのが悲しくて、可愛くて、ずっとそばにいたいと思いました。



このままずっとそばに置いといてはダメなのかな。



そうだ、病院で「葬儀屋さんに頼まず、自分たちで火葬までやりたい」と伝えた時、


「そのまま自宅に置いておく方がたまにいるので、ちゃんと火葬したということを確認したい。市役所に問い合わせてもいいか」


と聞かれたんだったな。



こういうことか、赤ちゃんこのまま火葬なんてしないでこのままここにいてくれないかな・・。




つづく