あっそうだ
「きっしゃん 私 パスポート持ってきてへん」
きっしゃんは笑って軽く
「大丈夫や」て言った
それから 知らない人たち数名
(たぶん7人くらいだったかな?)
事務所みたいな所に集められて
色んな手順を説明された
その中でも私と彼は
わりと大きな荷物を渡された
私と彼だけが子ども…
当時は自分の事を子どもとは
認識してなかったと思う
私はなんだか…今までとは違う…と直感的に感じ
目には見えない震えのような感覚
なんとなく彼の手を握った
どっちからとともなくギュッと手を繋いでた
それからのことは
今でもハッキリ覚えてるけど
夢だったように思う
ただ目が覚めない夢のような夢
長い長い時間だった
何度目かには慣れてきて
ただ…ここには長くいたくないって
日本に戻ると美保が
いつも待っててくれて
相変わらず美保は あちこちアザだらけ
だけど今回は いつもよりひどかったから
いつもは見ないふりしてたけど
私
「どしたん?すごいで」
美保
「あ〜原チャで転んで」て
その説明をしてきた
私
「うそや!そんなん ならへんやろ?どしたん?」
美保
「パパに殴られた」
私
「・・・」
幼い頃に継母から された色んなことが
フラッシュバックみたいになって
美保
「どしたん!!な〜」て大きめな声で呼ばれて
ハッと我に返って
私
「あーごめんごめん」
大丈夫なん?とか ひどいなとか
痛い?とか 私は何も聞かず
聞いても 聞かれても困るの知ってるし
解決なんてせ〜へんのも知ってるから
その代わりに 私は仕事でもらった
お金を美保にポケットから見せて
私
「これで遊びに行かへん?遠くに…めちゃ遠く…
どこでもええで 行きたいとこある?」
美保
「怒られるし またパパに殴られる」
私
「だから遠く行くねん。大丈夫や!私がおるし」
美保
「・・・行きたいけどな」
私
「決まり!」
ふっと思い出して
私
「あの子はパパの所で働いてるん?
いっしょに行かへんかな?」
美保
「いてるとこ知ってるし行ってみよ」
美保は原チャにまたがって
私に手招きして ポンポンって原付の座席を叩いたから …私は ひょいってまたがった
美保は走り出して笑いながら風に負けないように
大きな声で私に
美保
「どこ行く?」
私
「せやな東京は?行ったことないし行ってみたい」
美保
「ええな 行ってみよ」
なんとなく…希望に満ちてた気がする
すごい風が気持ちよくて
なんでも出来るし
どこでも行ける気がしてた
シャッターをドンドンドンドン叩いたら
少しだけ開いて
彼が屈んで顔を出して
私と美保は かがんで その中へ入ると
中は けっこう広くて
ゲーム機が何台も並んでた
その1台の所に座って
美保が嬉しそうに その話をした
彼は 黙って聞いてて
その後
彼
「見付かったらどうする?」
美保
「遠くまで行くし大丈夫」
なって 私の方を見てきたから
私は うんうんで
彼
「俺はええけど…
この子は帰ったらええんちゃう?」
美保
「はぁ?なんで アホちゃう」
私
「行きたないん?行かへんねやったらええわ」
美保の手を引いて 行こうと思ったら
彼
「行くわ」
美保
「あんたお金なんぼ持ってる?
前のやつ持ってる?」
彼
「俺は そんなもらわれへんかったから」
美保
「私 一回家戻って 全部お金持ってくるわ」
私
「ほんなら どこで待ち合わせする?」
彼
「ほんなら 溝のガレージにしよ」
溝とは…彼の親友みたいな子
朝ごはんはオムライス
ほんでから
これは昨日…映画見てきた
一度だけ見たこと(コンサート行った)ある
マイケル

自然と涙が出てきたわ
行けたら
もっかい行こなって
帰ったら はなちゃんは
ふて寝

おまたせ
おまたせ
幸せ
加ト吉が冷えたって言うから
薬用入浴剤入れて
あったまったよ

幸せ
いい日やったな
幸せ
つづく







