"人生とは
儚い夢のようなもの
なのかもしれない"
本を読んでは、映画を観ては、何かとそういう感想を抱くことが多いように思う、今日この頃。この本を読んでみてまた、そう思ったのです。
【茗荷谷の猫】
木内 昇 著
幕末の江戸から昭和30年代末までの時間の流れの中で歴史に名を残すことのなかった様々な人たちが次々に登場しては去っていく、連作短編集。舞台はかつては江戸と呼ばれていた東京。園芸にのめり込み、武士の身分を捨てて染井で植木屋になった男の話に始まり、大正年間、市電の事故で夫を亡くした絵描きの女の話など、それぞれの土地で悩みや思いを抱えた人びとの暮らしを描く全9篇。
読み進めていくと、時代も場所も違うのに、確かな“繋がり”を感じることができる。巣鴨、品川、茗荷谷、市谷、本郷、浅草、池袋、池之端、千駄ヶ谷。市井に暮らす中で埋もれていく人のどこかに、外から覗かせてもらっていると、不意にみつけられたりする人がいる。時代が変わり、人が変わり、街並みも変わっても、空は同じくそこにあって、季節はめぐる。例え来年の桜を自分が見ることが出来なくても、他の誰かの目には映る桜があったりする。なんて思うと、人生とはやはり儚い夢のようだと感じるのでした。染井吉野の桜のように、美しく咲いては潔く散りゆく人生ばかりではないけれど。それもまた儚い夢の物語。
茗荷谷はやっぱり今も住んでみたい街のひとつです。
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