毎晩、犬二匹と寝ています。
暑がりのクレールは、ベッドの下のクッションの上か廊下で。
ココは朝までわたしとベッドで寝ています。
犬とは一緒に寝てはいけない。
主従関係が云々。
と言われていますが
愛犬と一緒に眠る幸福感に勝るものはなく
何か問題が出てくるまでは
もうしばらくこのまま
一緒に寝ようと思っています。
わたしがまだ小学一年生くらいのとき
両親と年子の妹と四人で
伊豆半島にドライブに行きました。
後部座席で妹とふたりで
歌を歌ったり
お菓子を食べたり
小競り合いになって母に叱られたりしていたのですが
そのうち、ふたりともウトウトしてしまいました。
気持ちよくやすんでいると
突然、車が左右に揺れ
「お父さん!危ない!」
母の大声と急ブレーキの衝撃で、
わたしも妹も目が覚めました。
当時はまだ、山道にガードレールがないところも多く
曲がりくねった下りの坂道で
父は運転を誤って
危うく崖から転落するところでした。
「落っこちて死んじゃうとこだったねー」
母は皆を落ち着かせようと
おどけて笑いましたが
父は無言。
そのまま、不機嫌になり
黙ってアクセルを踏み
砂利をはねあげる音をあげて
車は走り出しました。
わたしと妹は
後部座席でふたりで身を寄せ合って
父と母のやりとりを見守っていました。
そのとき、わたしの心には恐怖はなく
家族四人で一緒なら
崖から落ちて死んでも構わないなぁ
などとぼんやり考えていました。
クレールもココも
おそらく、その時のわたしと同じ気持ちで
生きているのではないのでしょうか。
わたしという舟に乗って
安心して生きている。
家族で暮らしている。
わたしの舟が沈むなら
何の疑いもなくわたしと一緒に沈むでしょう。
先代のノアとクレールは一生変わることなくひとつの舟に乗って生きてきました。
でもココは違います。
一度、ひとり崖から落とされたのです。
理由も、わからぬまま。
家族は立ち去ってしまった。
ココひとり残して。
犬の祈りはささやかです。
一緒にいたい
ただそれだけ。
たったひとつの犬の夢。
犬の祈り。
ココの夢。
大勢のココたちの祈り。
クレールのいびきとココの寝息。
聞きながら
夕べはそんなことを考えて眠りにつきました。
ココの保護主の
ココがモデル犬を勤めました。
がんばってる可愛い保護犬ちゃんたち
みんな幸せになるんだよ




