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近所のおじさんがスターに変わった瞬間、考えが変わった
年中行事の中でも、苦手なのが
「地元の祭り」。
人混みがしんどい。
親族や知り合いに会って、
挨拶したり話したりする
のもしんどい。
だから毎年、できれば
そっとしておいてほしいのだけど、
今年も実母から
「来ないの?」
「来てよ」
と何度も連絡がくる。
理由は、地元の祭りの名物
「カラオケ大会」。
知人が出場するので、
飾り付きのうちわを持ったり、
動画を撮ったりして応援して
ほしいらしい。
このカラオケ大会、
なかなかすごい。
3時間にわたり、30人以上が
出演する。

もちろん皆さん素人なのだけど、
ペンライトを振る応援団がいたり、
派手なヘッドアクセをつけた
集団がいたり
おひねりや花束が飛び交ったり。
もはや町内会の余興というより、
小さなライブ会場。
会社や自分の仕事をアピール
するために出場する人もいて、
これがまた強い。
歌がうまいだけじゃない。
ステージに立った瞬間、
「え、近所のあの人ですよね?」
という人が、突然スターの
顔になる。

身振り手振りも完璧で
観客のあおり方もうまい。
「この人、こんな
才能あったの!?」
と毎年驚かされる。
今年はついに、
X JAPANばりの髪型と
衣装で歌う女性まで登場。
年々、気合いがすごい。
来年からは優勝者を決め、
賞金まで出るらしい。
どこへ向かっているんだ、
地元のカラオケ大会。
でも見ているうちに、
あることに気づいた。
必ずしも、歌が一番うまい人が
一番会場を沸かせるわけ
じゃない。
多少音程を外していても、
本人が思いきり楽しんで、
なりきって、
堂々と歌っていると、
こっちまで楽しくなる。
結局、
楽しんだもん勝ちなんだな。
今月、私は民謡の発表会に出る。
着物を着て、人前で歌う。
でも最近、高音がうまく出なくて、
「恥をかいたらどうしよう。
「ちゃんと歌えなかったら嫌だな」
そんなことばかり考えていた。
でも地元のカラオケ大会を
見て思った。
別に完璧じゃなくてもいい。
うまく歌うことより、
自分がその場を楽しむこと。
自分が楽しんでいる人って、
不思議と周りまで楽しくさせる。
人を惹きつけるのは
技術だけじゃない。
「これが好き!」という
気持ちが体からあふれている人
なのかもしれない。
祭りは相変わらず苦手だけど。
今年はちょっとだけ、
行ってよかったと思った。
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