夫
「ぼく、その日いつもより10分早く起きる」
体外受精の日
朝
几帳面な夫は
やっぱりちゃんと予告通り10分早く起きました
テーブルの上には今日の必要なもの一式
診察券
2人分の健康保険証
もろもろ
並べてあります
わたしも自分の仕度でパタパタしていたら
うしろでベリベリッと音が
夫が採精カップのパッケージを破ってるところでした
プラスチックのカップに
サインペンで書くんですよ
夫はわたしの診察券を見ながら
診察券番号、わたしの名前、今の時刻
いっしょうけんめい書いてました
そんなことまでやらせて
なんかごめん
なんだか申し訳ない気持ちになっちゃった
夫も会社へ行く仕度をはじめて、顔を洗ったり着替えたり
いつのまにかトイレに行ったようで戻ってきて
「はいこれ!」
っとカップを渡されました
きた!
いつのまに
すかさずタオルでくるんで
保冷バッグにイン!
ファスナーを閉める
まじまじ見るのもなんか悪い気がして~
いい状態で病院に持っていきたいからサササッと封印。
※持ち込みの注意点
25℃~30℃を保つこと
振動に弱いので十分注意すること
病院に10時~10時10分の間に受付すること
(7:30採取→10:00病院。2時間半経過もあるから心配!
なるべく傷つけずフレッシュで持っていきたい!
がんばるからどうか元気でお願い!)
夫は会社へ向かい
わたしは「痛み止め&排卵ストップ」薬
最後の1個 をとります
わたしも家を出発
平日の朝って
どうしたって通勤電車に乗らざるをえません
電車のゆれも十分注意しなきゃ
少しでもすいている路線で行こう!
余裕をもって早めに家を出ました
ところが
駅のホームに着いたら
いつになく大行列
あわわわわ
電車遅延してる!
構内の放送
「まもなく電車が参ります。もうしばらくお待ちください」
だいじょうぶ!
まだ時間あるから!
電車待ちの行列に並びました
・・・・
10分経過
構内の放送
「まもなく電車が参ります。もうしばらくお待ちください」
さっきから同じ言葉をくり返しています
まもなく電車来る?
だんだんと
いてもたってもいられなくなって
行列から飛び出して
ホームの駅員さんにたずねたら
「まもなく電車がきます。もうすこしお待ちください」
まずい
採精から1時間半経過してるだけでも焦ってるのに
そのうえ電車遅延
次に来る電車は行列の人でおそらく超満員になるでしょう
保冷バッグのこの子たち(?)が危なくなったら
どうしよう
もう20分経過
ルート変更しよう
階段をのぼって、駅の改札を出て
すぐ近くの別路線の駅に向かってダッシュ
おっと
お弁当バッグ(採精カップ)をゆらさないようゆらさないよう
小走りに走る
駅に入って
そこも大混雑の階段
さっきの20分ロスが響くわああ
とにかくこっちのルートで問題なければ
9時50分に病院のはず!
・・・・・
9時55分
病院に着きました
受付は10時と言われてたから、時間まで中で待たせてもらいましょう
すでに数人の人が受付に並んでいました
わたしも受付をして番号札をもらいます
あ、形がいつもと違う
(体外受精の人用かな)
急いで持ち込み場所へ
ちいさな窓のようなボックスの扉をあけて
カップを中において
扉をしめて
電話の受話器をとってブザーを短く鳴らして
受話器をそっと置きました
するとボックスの内側から「カタン」と音が。
培養士さんが回収したようです
どうか
どうか彼が元気でありますように
次は
自分の採卵です
採卵は、持ち込みの人から優先で順番がまわってくるそうです
(時間との戦いね
)
わたしより前に受付していた旦那さんと一緒に来ている人は
持ち込みの人の採卵が終わってからかもしれません。
というわけで
受付札は3番でしたが、
採卵の順番は2番目になりました
そっかー
夫が来ていたら順番がもっとあとになったはず
持ち込みにしたことで、夫の仕事に影響しなくてよかった・・・
順番がきました
血圧を測って
更衣室へ案内されて手術着に着替えます
下着は上だけ、ぺらっと手術着1枚
髪をまとめてヘアキャップをかぶりまして
ベッドに案内されます
待機するためと、採卵が終わったあとに休むためのベッド
たーだ座ってるだけだと
寒い~![]()
ベッドの上に足ものっけちゃって、マッサージしたりして
それも飽きてきて(コラコラ)
毛布かぶって横になって
体力温存しよ!
このあとどんな苦痛があってもがんばれるように
だんだんと
無の境地
隣りの方が呼ばれていって
しばらくして戻ってきて
次にわたしが呼ばれました
手術室です
あいだ先生ともう一人の男性医師
看護師さんが数人
いつもの婦人科内診用のイスではなくて
(座って上にガーッと上がりながら足を開いていくイスではなくて)
まんま手術台です
はじっこに腰かけて
そのままうしろへひっくりかえりながら
両足もそのまま上へ上げていって
足を専用の台にのせました
まず超音波検査で卵子を確認します
卵子あります
(予定通り)
次に
お腹の中を消毒
いよいよ採卵開始
(麻酔はなしよ)
看護師さんがわたしの左横についてくれたので
緊張のあまり
とっさに手を握っちゃいました![]()
医師
「採卵します。右です」
採卵って、膣の内側から針をぶっさして
卵巣の卵を吸い取るんですって
わたしは子宮を取り囲むように子宮筋腫がたくさんあって、
特に右側
一番大きな5cmの子宮筋腫が張り付いています
針が子宮筋腫も貫通するかもしれません
うわ
こわい
激イタイはず
がんばる
痛いのは覚悟のうえです
器具がどんどん奥に入っていくと
あるところで
ずぅぅーーーん
鈍痛が深く深く内臓に入っていく
するどいなにか
右の内臓に突き刺さる
痛い
どんどん痛い
でもこれは
絶対に
一瞬で終わることだから
だいじょうぶ
だいじょうぶ
自分に言い聞かせて
すってー
はいてー
大きい深呼吸を繰り返しました
あいだ先生
「痛いですか?」
わたし
「痛いですっ![]()
痛いけどもうすぐ終わるんですよね
すぐだってわかってるから
だいじょうぶです!」
あいだ先生
「はい、終わりましたよ~」
終わったああ![]()
あいだ先生
「じゃあ次は左ね」
え
左も取るんですか?
言う前にもうぶっ刺されて
ぐはっ
「あれっ?
そっち(左)は痛いと思わなかったのにっ!」
ふふふふふふ
一同微笑

「卵が小さいほうが痛いんだよね~」
採卵が終わって、止血用のわたが入れられました
11時
採卵終了
時間としては一瞬のこと
痛かったけどあっという間でした
(その前の卵管造影検査で倒れたほどの痛みではなかったです)
あれに比べたら耐えられました![]()
・・・・・
12時
待合室で次の順番を待っていると
旦那さんと一緒にいらっしゃってる人が呼ばれていました
体外受精の受付は毎日10時で
持ち込みの人がひととおり終わってから
旦那さんご本人がいらしてる人は
そのくらいの時間になってしまうのかもしれません
夫からメールがきました
「ぼくの分身はちゃんと元気だったかな?」
ああ
気になってたのね~
まだわからないから
わかったらすぐメールして安心させてあげましょう![]()
・・・・・
13時
止血用のわたを取り除いたら
あいだ先生とお話しです

「旦那さんねー
すごくいいわけじゃなかったですが
まあまあです」
まあまあ
ってなんでしょ![]()
夫にまあまあなんて言ったら
きっと悪いほうの「まあまあ」に受け取りそうです
あいだ先生
「卵子は2個
ひとつは空砲でした
もうひとつは成熟卵だったのでこっちを使います
旦那さんの数字も悪くないから
ふりかけ方式でいきますね」
ふりかけ方式はこのときの話
妊活。帝国ホテルでお見合いパーティ?
男性の一般的な平均値と
今回の検査結果が書いた紙をいただきました
今後の流れ
翌日 14時~15時の間に電話確認
病院の代表電話ではなく、専用電話番号にかけると
培養室につながり説明があります
ここで受精していれば次は
翌々日 10時~11時の間に電話確認
もしここで受精卵の細胞分裂が4細胞まで成長していたら
すぐ、午後、卵をお腹に戻す手術をします
14時に病院受付、16時に移植手術
もしすぐ移植手術となったら
病院へ急行
仕事を午後早退しないといけません
段取りつけなくちゃ(会社ではわたしが急な治療にも行けるようにと、業務がまわる体制を協力してくださっています。チームのメンバーには本当に感謝
)
・・・・・
看護師さん![]()
「今回がはじめての体外受精ですね」
「はい、そうなんです」
「他に心配なことはありませんか?
どんなことでも聞いていいですよ?」
不安や心配なこと
アレ
聞いてもいいですか?
わたし
「あの~
夫の精子の検査数値はいいんでしょうか
イマイチなんでしょうか」
看護師さん
「あら心配いらないですよ![]()
よかったですよ」
まだ何かがひっかかります
「あの
この数値の紙をもらったんですけど
どう見たらいいんでしょうか
まあまあなんでしょうか」
「はい、結果はいいですよ?
?
どうかしましたか?」
「さっき夫からメールが来まして
ぼくはちゃんと元気だった?
と聞いてきたんですけど
先生がすごくいいわけじゃないけどまあまあって
おっしゃってて。
夫は心配性だから、まあまあって言ったら落ち込みそうです
」
ナースステーションにいる看護師さんたち
皆さんがニコニコと
「旦那さん、メールで聞いてくるんですか~
かわいらしい方ですね」
「心配されてるんですよ」
「お優しいですね~」
そこに通りすがりの看護師さんが
「先生独特の言いまわしですから![]()
気にしなくていいですよ!」
目の前の看護師さんが検査結果の紙を見せて
「結果は平均値を上まわっていますし
問題ありません
安心してくださいね
」
まあまあって
「まあまあ良い」のことらしい 
わたしから夫へメール
「ご報告
お子さん達はよい状態でした
量も密度も運動率も、平均値を上まわってたよ
卵は2個とりました
1つは成熟卵でそちらをつかいます
1つは空胞(中身からっぽ)でした
明日、受精したかどうかを電話で確認します」
つづきはまた!
