我が家から西に向かったところにユニフォームを着た男性が2人立っているのが見えた。

近づくにつれ、何をしているのかが明確になった。

少年野球らしき子供たちが、その急坂でダッシュの練習をしているのである。最初に目に入った男性はコーチのようで、片方の人はストップウォッチを手に、記録するボードを抱えていた。

 

こんな住宅街で、練習ってアリか?

おそらく、練習する場所が取れなかったのだろう。だけど、公道を占領して練習するなんて、本来駄目だろう。

 

私はその急坂を下って出かけるつもりだった。

コーチ2人は、私を見るなり「すみません、御迷惑をおかけしています」と頭を下げた。

コーチたちの近くではあはあ言いながら座り込んでいる2人の子供も、私を見たら立ち上がって「こんにちは」と言った。

私は今の今まで「こんなところで練習はありえん」と思っていたが、大人も子供も礼儀正しくて、あっという間に考えを変えた。

私が坂を下り終えるまで、練習は中断せざるをえないわけだが、気が変わった私は、もう1本西にある坂を下ることにした。

その旨、伝えた。子供たちにも、つい「がんばってね」と言ってしまった。

 

公道を占領しての練習はやっぱり駄目だと思うが、それを覆すほど全員がすがすがしかった。

あの坂は本当に急で、歩いて上るのでも相当きつい。

それをダッシュで何本も。

実際に球を使っての練習ではないので子供たちもつまらないのではないかと思うが、でも、そうして鍛えることが欠かせないのだろう。

 

がんばっている子には、こちらがパワーをもらえる。

私は意気揚々と遠回りした

 

 

 

 

 

 

私にも 走れた日々が あったのに

鞠子

 

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