シルバーアーチから数日。
幸せになれないように、自分でかけている呪縛。
その意味がわからないまま、仕事に追われる。
ただ、頭の片隅でその言葉はぐるぐると回り、テリトリーを広げていた。

忘れもしない、10/31。

残業しながら、子どもの頃のことを思い出していた。

そういえば、小学校3年生くらいの時、親戚と海に行った時。
海に着いたら台風が近かったか何かですごく涼しくて。
妹が風邪気味だから温水プールに行こう。
そう言われたのに、私が駄々をこねて無理に海で遊んで。
そしたら妹が肺炎にかかっちゃって入院したっけなあ。

そういえば、小中学校で何度かいじめられた時。
本気で死にたいほど辛かった。自宅のベランダから飛び降りようと思ったこともある。
辛さを先生にチク…打ち明けて、みんなが叱られたっけなあ。

そういえば、高校受験の時、父親が名前を出した超進学校に行く気になって。
親に頼み込んで何とか塾に通わせてもらったけど。
結局メンタル面でダメになって、塾に行かなくても合格できた高校にしたなあ。

そういえば、専門学校に通っていた時、恋愛とか課題とか色々辛くて。
成り行きは忘れてしまったけど一人暮らしをするってことになって、
気付いたら話がすごく大きくなってて親に負担をかけてしまったんだよなあ。


……。

………ああ。


「自分の意志を通そうとすると、他人を不幸にする。だから…」
だから、私は幸せになっちゃいけない。


「私は心を開いてるのに、無視される、仲間外れにされる。だから…」
だから、信じちゃいけない。辛さを感じないように。
みんな私を傷つけるんだから。


+++


そうか。
確かに、私は自分で、自分に対して。

「自分が幸せになれないように」枷をはめた。
「人を信じないように」心に鍵をかけた。
夜ふとんの中で泣きながら、実際に自分に鍵をかける動作をしていたことも思い出した。

そして、これを書きながら今思い出したけれど。
「生きていることは罪であり、罰である」と思っていた。

根底に染み着いていた強固な呪縛。


こんなん、当然幸せになんてなれないよ。

「私は疫病神だ」って、本気で思っていたんだもん。
他人を不幸にしかしない。だから私は人を幸せにしなきゃいけない。

辛いよ、我慢してるよ。
誰だってわかる。

自分の前提が「私は幸せになっちゃいけない」なのに、
「幸せになりたい」ってそれはベクトルが真逆だ。
自分で自分の心を引きちぎる勢いで引っ張ってるような状態じゃないか。

人を幸せにすることが、自分の幸せなんだって、置き換えてた。
今の会社を選んだ、「感謝されたい」って動機も、たぶんここに繋がってるんだ。
人を助けることで、自分の存在意義を確認してたんだ。

+++

誰もいない会社で、声を上げて泣いた。

やっと見つけた。
ごめんね、辛かったね。

そして、心から思ったんだ。

やっぱり、私、幸せになりたい。
幸せになろう、と。