ご飯を食べてお風呂を頂いたあたしは、庭先の軒下でうちわを仰いで涼んでいた。
もちろん、蚊取り線香を炊き、バディには虫除けスプレーを噴射済みである。
「これぞ、THE日本の夏☆ね。あとはスイカと花火があれば…」
なんて独り言をアナログにツイートしていると。
「ほらよっ!」
ゴト。そういってあたしの座っている横に、三角形に切られた真っ赤なスイカのっかったお皿が置かれた。
「おおっ」
見ると持ってきたのはハリーだった。
「これ食べていいの?」
「もちろん。冷えてるぜ」
「ハリーもいいとこあるじゃん!」
そういってあたしはスイカを食べ始めた。ひんやり冷えて、あまくて美味しい。
ハリーもあたしの横に座るとシャクシャクと食べ出す。
「…なあ、るりか。約束、覚えてるか?」
「ん? なに?」
「いや、忘れてんならいいや。何でもない」
「なに? 約束なんかしたっけ。やば、あたし完全ど忘れしてるかも…」
ハリーと約束? いつ? どこで? ダメだ。ぜんっぜん思い出せない。やばい、ハリー怒ってるのかな、そう思って、顔を覗き込んが、別にそんな様子はない表情だった。
「大丈夫だよ。別に気にすんなよ。それより、るりかは、明日どっか…予定あるのか?」
「明日? うん、朝からあるよ」
「え? そうなのか? どこ行くんだよ」
なんでびっくらこいてんだハリー。あたしに予定があるのが珍しいのか。失礼な奴だ。
「アウトレットパークに行くの! お父さんに連れて行ってもらうのよ」
「あー木更津のか。なんだーあれだよ、イヤ俺もちょうど行く予定だったんだよ!」
「ちょ、ウソ。ウソでしょ。今、テキトーに言ったでしょ。なーに邪魔する気?」
「邪魔なんかしないよ。なんだよ、せっかくこっち来たんだから親戚みんなで遊べばいいじゃん」
「親戚っていってもハリーしかいないじゃん。芽乃さんとか旦那さんとかこないんでしょ?」
「まあ、ねえちゃんは子供生まれたばっかだしな」
芽乃さんはハリーのお姉さん。結婚してこの家を出た。そんなに遠くもない近所に住んでいるんだけどね。
「うっせーな、いいじゃんかよ」
「ハリー…さては、遊ぶ友達いなくて寂しいのね」
「そうじゃねえ! つーかお前、年下なんだから、いいかげんタメグチ使うなよな」
ちょっと、これだから男子はダサいのよ!
「そうやって、すぐ偉そうにいうのね、ハリーは。どうもすみませんでした。申し訳ございませんでしたー」
「なんか俺がガキみたいじゃねえか」
まあ、アホなこといつまでも張り合っててもしゃあない。
「あのね、アウトレットパークで、どうしても外せない用事があるんだ。そん時はひとりじゃないとダメなの」
あたしはフツーに事情を話した。
「結構長い時間なのか?」
「30分くらいかな。まあとにかく、その時間だけほっといてくれれば、別に誰と行こうがいいのよ」
「ふーん。なんなんだろ、用事って」
ハリーは怪訝な顔をしていたが、さすがにその用事の内容までは言えなかった。
だって! だって、それは…!