ちえりパステルガァル!
ライトノベル版ダイジェスト
⇨特別版『ふたりはプリキュアMilkyWay&ちえりパステルガァル!スペシャル・ハーモニック』 


 「【クロコ】のあの黒いオーブを狙うのれす!」

 次々と襲いかかって来る全身黒タイツを着ているような顔まで真っ黒のザコ敵【クロコ】たち。

 【パステルガァル!】たちは攻撃を交わしながら、次々と彼らの体のどこかにある黒いオーブを砕いて行く。

 これが【パステルガァル!】の力なのだろうか、【クロコ】たちは大人並みの体型で、力もそこそこあろうかと思いきや、【チェリー】が思いっきり振り払うや否や、彼らを空中までふっ飛ばしてしまった。

 「これはちょっと、快感ですわ!」

 【ハニー】も敵がこっちより全然弱いとわかると、だんだん楽しくなって来たようだ。

「ぴゃぴゃ! おのれちょこまかと~! セピア・スミ・ビーム!」

 ネーミングセンスゼロな技は 【ダークネスセピア】の口らしき場所から、セピア色のイカスミを放出する。

 それは【パステルガァル!】全員に振りかかり、全員がセピア色になる。

「うわ、クサ!」

 匂いまでイカスミみたいで、生臭い。【ラピス】はしかめっ面だ。

「お下品な攻撃ですわ!」

「なんか、ふにゃふにゃする~」

 【チェリー】がそういうと同時に全員尻餅をついてしまった。

 どうやら本当にチカラが入らないようだ。

「まずいカラ! 【ダークネスセピア】の力で、こっちの【パステルパワー】が落ちてるカラ!」

「あのイカスミのせいれすね。やばいれす!」

「ぴゃぴゃぴゃ~! お前たちのパステルパワーは封じ込めたピア~!」

「にゃはーん」

 【チェリー】はへろへろになっていくのが面白いようで、ちょっと目がキマってきた。

「どゎ、大丈夫よ、ほら、ハニー②の技よ! 状態異常回復系の技があったじゃない…」

 事前に【パステルハニー】の特性を把握し技に名称をつけ、エクセルで表にしてプリントアウトしておいた、【パステルラピス】。

 さすが中2病という持病をお持ちなだけはあった。

「わかりましたわ、ええと、ハニーリフレッシュ!」

 【パステルハニー】が【ハニースター】という自分の武器を掲げると、あたりが光りだし、見る見る彼女らにかかったセピア色のスミが消え去って行く。跡形もなく。

「あ! ふにゃふにゃなおった!」

「くらぇええ! ラピスブレイク!!」

 【ラピス】は間髪入れず、一気に【ダークネスセピア】との物理的な距離を縮めた。

 そして、自分の武器、【ラピスブレイド】で【ダークネスセピア】を叩き、斬りつける。

 ふっ飛ばされたイカ人間は、仰向けにぶっ倒れ、朦朧としている。

「やるなら今よ、【チェリー】!」

 【チェリー】はうん、と大きな声で返事をすると、【チェリーステッキ】を構えた。

「ぶんぶんの大切なハンカチを真っ黒にして! 怒ってるんだから!」

 【チェリーステッキ】から、ぷわっとさくら色の球体が飛び出した。そしてそのまま【ダークネスセピア】を包み込む。

「ぴゃ・ぴゃ~!?」

 さくら色の球体は宙に浮かぶ。無論、その球体の中で身動きがとれない敵も浮かんでいく。

「イカさんも、おうちに帰るよ! 桜愛吹雪(サク・ラブリザード)ー!」

 ステッキの先端から、勢いよくさくら色の突風が吹き荒れる。あたりには桜の光の花びらが舞う。

 そして、球体の中の【ダークセピア】を回転させる。

「ぐわあああああ! 無念ピア~!」

 ちゅっどぉぉぉん!

 爆発のあと、【ダークネスキング】に洗脳された【ダークネスオーブ】が空中に現れ、ぶわっと、【セピア色】のオーラのようなものが放出されていく。

「やたのれす! 【侵色】は失敗に終わりました! 【セピア色】が解放されていきまつ」

 こうして、【パステルガァル!】たちは、変身を解除した。

「あ、本当ですわ! ハンカチの色が元に戻りましたわ!」

 みつばが、ハンカチを見て驚いた。真っ黒になってしまった母親からもらった大切なハンカチは、しっかりとセピア色に戻っていた。

「ちえり様。ありがとうございます!」

「ぶんぶんもいっしょにたたかったもんねー」

 二人はすっかりキャッキャと喜んでいた。

「なぜ、『様』づけなのさ、ちえりには…」

 るりかにはよくわからなかった。ちえりはあの気難しそうなみつばに何を吹き込んだのか。

 ただひとつわかったのは、みつばが笑顔になったことだけだ。ちえりの真剣な訴えは、ちゃんとみつばに届いたのかもしれない。

 とりあえず、今後もなんとか…するしかないか。

 るりかは、はしゃぐちえりと使者、そしてみつばを見ながらそう思った。

 みつばのことを問題児、問題児っていうが、そもそも、【侵色】自体が問題なのだ。それを言うなら変身ヒロインだって,問題と言えばひどく問題ではないか。

 問題には問題児を当てるしかないのかもしれない。そう考えれば、あたしたちにも勝算はある。

 いや、むしろ、問題児こそが世界を救うんだ。

 「なんとかなる!」

 るりかは自分に言い聞かせつつ、決意を新たにした。

 そして、一方のその陰では…

「なるほど…あやつらが【パステルガァル!】か。【プリンセスホワイト】め、あくまでも【侵色】に抵抗する気だな」

 赤い長髪の男はそう呟くと、闇に溶けるように消えた。