ちえりパステルガァル!
ライトノベル版ダイジェスト
⇨特別版『ふたりはプリキュアMilkyWay&ちえりパステルガァル!スペシャル・ハーモニック』 


「ごめんなさいね、みつばお嬢様は今、気分がすぐれないって寝てるのよ」

 みつばのお屋敷の大きな門にはカメラ搭載のインターホンがあり、ちえりが鳴らして見るものの、案の定、ばあやガードがっ入り、門前払いだった。

「ぶんぶんとお話したいです!」

 何時なく真剣な顔でそのカメラに向かって、英ちえりは訴えた。

「ごめんなさいね、何日かしたら、学校でお会いできますから…」

  ちえりは何度か食い下がったが、結局インターホンは切れてしまった。

「ほら、ちえり…また出直そうよ。みつばって子を仲間に出来るかどうかは、時間を置いてゆっくり考えようって」

 るりかが後ろから、ぽんぽんとちえりの頭を叩きながら言った。

 【かあら】も【ぱれっと】も、ちえりが、心配で、後ろから見つめている。

 その時、ちえりは、自分の母親の言葉を思い出していた。

―友達が悪さしたり、人として間違ってると思ったら、空気を読まずに全力で止めるんだ。嫌われて、絶交されてもだ。それが、『友達』を語る『覚悟』だ―

「きっと万引きしたとき、ちえりを巻き込んだのは、ちえりのこと信用してくれたからだと思う…」

 ぼそぼそと呟いたちえりは、くるっときびすを返したかと思うと、とんでもないことをるりかに頼んできた。

「るりかちゃん、ちえりを持ち上げて。ぶんぶんちに、しんにゅーする!」

「うほ! あんたねぇ! それはまずいでしょ!」

 何を言い出すんだ、この子は。第3話はやたら振り回されている気がするわ、ペースを乱され気味のるりかは、実力を発揮できず、煮え切らないようだ。

「後でごめんなさいってぶんぶんのばあやに言えば、だいじょーぶ」

 ちえりは笑顔で言った。

「大丈夫じゃあないわよ~!」

 すると【ぱれっと】がふよふよと前へ躍り出た。

「…ちえりさんがどう考えているかわかりまてんが…ここはボクもちえりさんに協力したいれす。本当はいけないことかもしれまてんが」

「って、あんたらねぇ! 【ぱれっと】までなんなの?」

「あとでるりかちゃんに『やれっ』て言われたっていう」

 ニカっとちえりは笑顔で言った。

「あ~、なるほどね!…ってコラァァァァァ!」

「リーダー!チカラをかしてくだだい!」

 【ぱれっと】からリーダーと言われ、るりかが悪い気をするはずがない。

「しょ、しょーがないわねー。まあ、小学生だし、謝ればすむ問題か…」

 などと、口を滑らしてるりかは言ってしまったが、それと同時に彼女はハッとした。

 人んちの庭に上がりこむのは、確か法律的にも罰せられるから、こんなお金持ちの家だし、セキュリティうんぬんとかでガチでヤバいのはわかる。それは、ちえりにだって。

 ちえりは天然で素っ頓狂な娘だけど、こういった良い悪いの判断はできるはずだ。

 知っていて、あえて侵入を企てるのは、なぜか。

「謝って済むなら、謝ればいい。その奥に、謝っても済まないような問題があるから、それを解決したい」とちえりは思っているのだろうか?

 それが、分部みつばなのだろうか。

「周りから、侵入するのはおかしいと言われ、怒られたとしても、今、行かなくちゃいけない」んだろうか?

 今、じゃなくても、いい?

 るりかは弟を思い出した。そうやって、少しずつ、子どもが求めているタイミングを逃して来てしまった自分や両親を。

 たとえ、今のタイミングが正解じゃなくても、たとえ、分部みつばが求めているのは父や母で、ちえりじゃかったとしても。

 侵入して、拒絶されたとしても。

 たぶん、ちえりは後悔しないんだろうなと、るりかは思った。

 その拒絶は、きっと分部みつばの表面上の表現であって、心の奥底の闇に、ちえりの光の矢は刺さっているはずだからだ。

 そして、それがちえりの言う「友達を語る覚悟」なのかしら?

 って、これはあたしの深読みし過ぎる妄想グセがなせる業かもしれないけど。

 とにかく、不法侵入して、あとで怒られたら、あたしがリーダーとして責任もってあやまったるわ!

 そう彼女を決意させるには十分な眼差しを、ちえりがしていたもんだから。

「いだだだ、あんた見た目より体重あんじゃないの? ほれ今だ行け!」

 気がつけば、るりかの肩車によって分部邸の門を突破してしまった、ちえりと付き添いの【ぱれっと】であった。

 ちえりも普段からヒップホップダンスをやっているだけあって、結構な高さがあったのに軽やかに着地して見せた。

「いってらっしゃい。…不思議。なんだか、いろんなことが絡まりすぎて、逆にシンプルに解決しちゃうんじゃないかって気になって来たわ」

「もー、るりちゃんも結局ちえりちゃんに毒されたカラ」

 そういった【かあら】もなぜか笑顔だった。