ちえりパステルガァル!
ライトノベル版ダイジェスト
⇨特別版『ふたりはプリキュアMilkyWay&ちえりパステルガァル!スペシャル・ハーモニック』 



「とんだ失態だな、【ダークネスグリーン】」

 その部屋は、暗く、広い。窓もなく、外の景色も見ることができない。ぼんやりとした光の中、照らし出されたのは、赤い髪の男。髪は長く、頭からは黒い角(つの)のようなものが左右に1本ずつ伸び、不気味であった。

「四天王…【ダークネスフォー】の恥さらしめ」

 この赤髪の男は、もう一人の誰かの失態を問い詰めているようだ。彼はそのまま、鋭い目つきで目の前でうなだれる人物を睨んでいる。

「小豆色の【侵色】が失敗したどころか、小豆色の【ダークネスガーディアン】まで倒され、【パステルガァル!】とやらから、敵前逃亡したようだな!」  

 彼と対峙して立っているのは、【ダークネスグリーン】。

 緑色の長髪で、頭部に装着された黒いカチューシャのようなものからは、バニーガールのうさ耳のごとく、大根の葉っぱ見たいのが生えている。格好もどちらかと言えばレオタード風だ。

 ところが彼女は、目の前で睨みを効いかせている赤い男に対して、黙ったままだった。
 ここは、暗黒の城、彼ら彼女らは【ダークネスキャッスル】と呼んでいる。

 人間の世界にはない。かといって、【パステルワールド】でない場所。互いのスキマに位置する場所にあり、世界を暗黒にすべく【侵色】を実行する城だ。

「パステルガァル!は、あなどれないわ!」

 【ダークネスグリーン】は赤髪の男をにらみ返した。

 たしかに失態であった。【ぱれっと】や【かあら】などの、使者たちはすべて【プリンセスホワイト】側につき、【侵色】に対し、大いに抵抗、反発をした。

 そして、彼らが持ちだした【パステルオーブ】はたった四色のみ。それで何が出来るのかと、正直、高を括(くく)っていた。

 しかし、抵抗勢力たちは、人間を取り込みそれを【パステルガァル!】として、融合させることに成功したのだ。

「【ダークネスレッド】。この人間界であの子たちと戦うには、チカラだけではダメなのよ」

 そう、人間の少女たちの行動や心情は不可解極まりなかった。【ダークネスキング】の命令で【侵色】の任を忠実に遂行する【ダークネスガーディアン】たちからしてみれば、予定調和を崩す【パステルガァル!】の存在に戸惑う他なかったのだ。

「ほう、いいわけか?」

 失態のうえ、この期に及んでいいわけとは。見苦しい女だ、赤髪の【ダークネスレッド】は嫌悪感を露わにした。

「そうじゃないわ! 私たちガーディアンは人間界に来ることによって、具現化した肉体を手に入れたけど、それとともに感情を手に入れたでしょ」


「ああ、それがどうしたのだ」

「【ダークネスレッド】。感情…『心』は厄介よ。特に、人間界は『色』と『心』の関係が密接すぎる…」

「…それが敗因というわけか?」

「【パステルガァル!】自体の力は四天王の私たちには及ばないわ。でも未知数な部分が多すぎるのよ。特に【チェリー】。あの子は【ダークネスラシト】の破壊性を一時的に抑え込んだの。つまり…【ダークネスキング】様のチカラを無効化したのよ!」

 【ダークネスラシト】とは先日倒された小豆色の【ダークネスガーディアン】だ。

「あと、わたしもいっしょにワッショイ!ワッショイ! って【ぱれっと】を胴上げしちゃったの」とは自分の名誉のため、口が裂けても言えない【ダークネスグリーン】であった。

「なるほど…やはりそういうことか。なぜこの人間の世界で【侵色】をするのか、【ダークネスキング】様のご真意が少しわかった気がするぞ。まあ、いい。貴様がそこまでいうなら、この俺みずから【パステルガァル!】とやらの様子を見に行ってやる」

 四天王、【ダークネスレッド】は不敵に微笑んで見せた。