ちえりパステルガァル!
⇨ライトノベル版ダイジェスト
⇨特別版『ふたりはプリキュアMilkyWay&ちえりパステルガァル!スペシャル・ハーモニック』
「くすくすくす…あーらら…うちのカボチャ、たおしちゃったのね? ダメじゃないのぉ」
その冷血そうな笑い声…パステルハニーも、バーミリアンも忘れるはずがなかった。
「【ダークネスブルー】!」
「心の黒い色を吸い取る実験中だったのにぃぃ。前回、手を出さなかったのは、実験中だったからなのよぉ。実験が終わっちゃったんだったら、もう、おしまいね」
「ど、どういうことカラ」
かあらがバーミリアンの陰からそういった。
「パステルガァル!ちゃんが、おしまい。全員消しちゃう♪ さ・よ・う・な・ら」
言うや否や、【ダークネスブルー】を中心に辺りの地面が、一面スケートリンクのように凍りついた。
【かあら】、【ぱれっと】をはじめ、しゃがみこんでいた3人のパステルガァル!たちも巻き込まれ、どんどん氷で覆われて行く。
そう、氷が生き物のように次々と地面から這い上がり、彼女たちにまとわりつくのだ。
「きゃああ」
「氷で覆われる前に、体を動かすんだ! ぬあ!」
バーミリアンがとっさに炎のオーラをだし、その纏わりついた氷を割る。
「あ、だめよ逃げちゃ。『ブルーバード』くすくす…」
ダークネスブルーから、鳥の形状をした青いエネルギーが何匹も飛翔すると、つぎつぎとバーミリアンに体当たりしていく。当たった部分は見る見る凍りついた。衝撃を与えられ、しかし、同時に凍るので倒れることさえもできない。
「ぐ! ぅあ!」
「バーミリアン!」
ついにバーミリアンは頭から足まで全身を氷の塊に覆われてしまった。
「かあら! ぱれっと!」
チェリーの目の前で、かあらとぱれっとは氷に覆われ、固まってしまう。
そうこうしている間に、チェリーもハニーもどんどん身動きが取れなくなっていく。
「あら、もっと遊んでよ。なーんだつまんないのね。くすくす…」
「う…う…」
遂には、ハニーも全身を氷で覆われてしまった。
「あとはチェリーちゃん。あなただけねえ。最後になんか言いたいこと、あるぅ?」
「こおり、ちべたくて気持ちいいよ」
「……。なによ、それ?」
一瞬、【ダークネスブルー】の表情が、素になった。チェリーの言ってる意味が解らなかったからだ。
「今日はお盆だからラピちゃんがいないの。チェリーたちが負けても、ラピちゃんが何とかしてくれるもん」
「くすくす。パステルガァル!ひとりじゃ何もできやしないわぁ」
「ひとりじゃない。思いは、つながってるんだよ」
その言葉を最後にチェリーの全身が、氷漬けになった。その、瞬間に。
ビュシュっ!という音が。
唐突に。
それは、衝撃。
バリン、バリン。
氷に何かがあたると、次々と氷が破壊されていく。
【かあら】が、【ぱれっと】が、ハニーが、バーミリアンが、全員が次々に氷から解放され、その場に倒れこむ。
【ダークネスブルー】は、驚いた。いとも簡単に、目の前で、一瞬で、氷の呪縛を破壊されてしまったのだ。
「ど、どういこと? だーれ? おじゃま虫ちゃん」
「木々よ、葉よ…静寂なる…緑よ…」
「!!!!!」
「まさか」とは、バーミリアン。
「あれは…」ハニーもうつ伏せになりながら、目の前の人物をはっきりと見た。
「どういうことカラ?」
「奇跡、なのれす…」
パステルガァル!たちを救った人物は、【ダークネスブルー】の目の前まで、歩みを進める。
「なんで…! あんたパステルワールドへ飛ばされたでしょ!?」
右手には緑色のムチ。
「…パステルパワー…ペイントオン!」
緑色の髪をなびかせた娘は、己の【パステルウエポン】に衝撃を与えると、光を発し、見る見るパステルガァル!に変身して行く。
「ど、どういうわけぇ!?」
「か…かえでちゃん…」
チェリーは、そう言った。
それに彼女はコクンと頷く。
「そうよ、思いはつながっているわ。どこにいてもね。だから、あなたたちの思い通りには行かない! 静寂なる自然と調和のパステルガァル! 緑色のパステルグリーン!」
「パステルガァル!ですって! そんなおバカな話…! 『ブルーバード』!」
【ダークネスブルー】は戸惑いながら、先程バーミリアンに放った、青い鳥が無数に襲いかかる技を使う。
「グリーンピース…!」
しかし、無数の氷の青い鳥は、パステルグリーンから同じように放たれた緑色の無数の玉に次々と砕かれていく。
取り乱した【ダークネスブルー】は、ひと呼吸置くと、いつもの皮肉っぽい笑顔に戻った。
彼女は常に状況が他人より有利であることに美学を感じているようだ。
不利ならば、想定外ならば、取り乱すくらいならば…逃げる。
「あら…あたしったら、取り乱しちゃったわね。…一応確認するわ」
グリーンを睨む。
「グリーンちゃん。あんた、どっちの味方なの?」
緑の髪の彼女は、迷わずに【パステルウエポン】のムチを【ダークネスブルー】へ向けた。
「侵色をやめさせるわ。この星を暗黒にさせやしない…」
特に、表情を変えずに、ショートヘアの青い瞳と髪を持つ娘が口を開く。
「それが、答えね?」
「それだけが、私の答え」
グリーンは、きっぱりと答えた。その回答に、迷いはなかった。
「バイバイ、グリーン。次に会うときは」
「どちらかが、帰ることになる。そのつもりよ、ブルー」
彼女たちが言う「帰る」とは、【パステルワールド】へ帰ると言うこと。
つまり、どちらかのオーブが砕ける、命をかけた戦いと言うことを意味していた。
やがてブルーは、静かに消えた。