ちえりパステルガァル!
ライトノベル版ダイジェスト
⇨特別版『ふたりはプリキュアMilkyWay&ちえりパステルガァル!スペシャル・ハーモニック』 


 
「ロボマツ先生!?」

 みつばは恐怖も顧みずに、悲鳴の方向に走った。

 彼女が下げていたカバンから【パステルワールド】の使者、【かあら】が顔を出す。

 角を曲がると大きな化物と、その化物を見、驚愕して倒れているロボマツ先生がいた。まだ日も落ちない夏の夕方であったため、姿をはっきりと見て取ることが出来たのだろう。

 その化物はよくハロウィンで見るようなオレンジのかぼちゃが、何個もかさなったような風体で、腹にはハロウィン同様顔が描かれているので、ものすごい迫力であった。

 ロボマツこと松井サキから言わせてもらえば、変質者かつ異常なデカさなので驚愕っぷりがお祭り騒ぎであった。

「【ダークネスガーディアン】ですカラ! えぇと、かぼちゃ色! 【ダークネスパンプキン】だカラ!」

「かぼちゃ色っていうと深緑のイメージがありますけど、欧米でパンプキンカラーといえばこのオレンジっぽい色らしいですわね」

 ザ・補足であった。

「みつばちゃんはこっちに来てはダメだと思う。バ・バケモノ! 変質者! みつばちゃんは逃げる! きゃ―」

 騒ぐロボマツ先生をパンプキンは両手で持ち上げると、恐怖が頂点に達したのか彼女は失神してしまった。

「自分を差し置いて、児童を逃がすなんて、ゆとりの大学生だと思っていたのに見直しましたわ!」

 みつばはキッとした眼差しで、【ダークネスパンプキン】を睨んだ。

 右のポケットからはちみつ色の【パステルオーブ】を取り出すと、合掌するようにオーブを叩く。

 ぼわん、という音と共にいくつもトゲのついた球とそれをつなぐ一本の鎖と持ち手の柄が一体化した【ハニースター】という【パステルウエポン】が現れた。

 再びその武器の持ち手に衝撃を与える、分部みつば。

「パステルパワー ペイント・オン! パステルゥゥハニーィィィ」

 なんやかんやいってパステルハニーの変身シーンが一番多く、文章におけるバンクシステムを導入したいな(手抜き)。

「かぼちゃのお化け! 【侵色】をおやめなさい!」

「くすくすくす…ハニーちゃん、これは【侵色】じゃないのよん」

 思いもしなかった、もうひとりの声が響いた。

「…【ダークネスガーディアン】がもうひとり…? 誰ですの?」

 【かあら】が放置されたみつばのカバンから飛び出した。

「…! 四天王カラ! 【ダークネスブルー】!」

 【ダークネスパンプキン】の陰から現れたのは【ダークネスブルー】。髪や瞳の青は、おなじみの瑠璃色よりも鮮やかな、純粋な青。

 一見無邪気で屈託の無い笑顔の女性タイプのガーディアンだが、目的のためなら手段を選ばないという感じの残酷さを兼ね備えているのだ。

「なんてことですの!?」

 更に言うと、ハニーの四天王遭遇率はなぜか高い。と、そこへ。

「ハニー!」

 思いもしなかった声パート2・うれしいVerだ。

「ああ、バーミリアン! 助かりましたわ」

 どうやらバーミリアンこと穂ノ尾あかねは、空手道場での自主練帰りだったようで、不幸中の幸いだった。

「くすくす。バミちゃんまで来ちゃった。めんど。【青い氷】…くすくすくす…」

 冷徹に笑うような表情で、彼女は手のひらを仰向けに差し出した。その指先からは青く丸い形状の玉がハニーとバーミリアンの足元に落ちた。大きさといっても、そんなに大きなものではない。

 ところが、その青い玉は地面に着地するなり、氷となり、瞬く間にハニーとバーミリアンの足を固め、自由を奪った。

「く、動けない…!」

「ちょっと、今ね…実験ちゃんをしてるの。はい【ダークネスパンプキン】」

【ダークネスブルー】が合図をすると、【ダークネスパンプキン】の胸に埋め込まれた、パンプキンカラーの【ダークネスオーブ】が黒く点滅し始めた。

「ふごご~いただくカボォ!」

 またそんな喋り方…と、ハニーたちはうんざりしたが、目の前で地面に放り出された松井サキが中に浮きだした。

「ううううう…」

「ろ、ロボマツ先生…! ちょっと何をする気ですの? 」

【ダークネスブルー】は、たぶん、本日一番のおそろしい微笑をした。

「いただくわね、心の【黒い色】」

 ロボマツ先生の胸元から、黒いオーラのようなものが次々と【ダークネスパンプキン】の【ダークネスオーブ】に吸い込まれていく。

「ハニーリフレッシュ! おやめなさーい!」

 ハニーリフレッシュは、状態異常をキャンセルさせる技。功を奏して足元の氷が少し溶けた、が…。

「まあこのくらいでいいわねん。ごちそうさま。ハニーちゃん、バミちゃんまた今度遊ぼ」

 こちらが反撃する機会を与えなくらい早く、【ダークネスブルー】と【ダークネスパンプキン】は消えた。



「くっ!何も出来なかった!」

 パンと右の拳で、もう片方の手のひらを打ち、やり場のない怒りに包まれる、穂ノ尾あかね。
 彼女たちはとりあえず変身を解いた。

「先生!? 大丈夫ですの? 」
 みつばがロボマツを抱え起こすと、彼女は気を取り戻した。

「……」

「先生!?」

 ロボマツには、特に目立った外傷がなかったが、瞳孔が開いているというのか、まるで目の光がなくなり濁ったような、死んだ魚の目のようになっていた。反応がない。いや、自力で上半身をおこしたから、死んでいるわけではない。

「か、帰る…」

 そう答えたが、うつろというか、焦点があってないというか。

「せ、せんせい?」

 ロボマツ先生はフラフラすると結局ぺたんと尻餅をついてしまった。

 なんだこれは、生気がまるでない。

「こ、こんなコト初めてカラ…。【ダークネスブルー】は何をしたのカラ!?」

 得体のしれない力を使った【ダークネスブルー】と【ダークネスパンプキン】に、みつばとあかねは今までにないくらいの恐怖を感じていた。

 パステルガァル!のリーダー、瀬々良木るりかが不在のこんな時に。