ちえりパステルガァル!ライトノベルまとめ目次

第1話「ちえり編  」←ママ、せかいへいわしちゃっていいですか?まさかの懇願系変身少女!

第2話「るりか編  」←只今、執筆中!
特別版『ふたりはプリキュアMilkyWay&ちえりパステルガァル!スペシャル・ハーモニック  』


瀬々良木るりかは演劇とか芝居とか、そういったことで、ここまで真剣に取り組み、こんなに緊張したことはなかったかもしれないと思った。


それも昨日はじめて出会った他人である、音雨(おとめ)すみれに熱を上げて、自分より、そんな彼女に受かって欲しいと思った。

 


だから、がむしゃらすぎて、ふと我に返った瞬間は、掲示板に合否の模造紙が貼り出された時だった。


るりかとすみれは思わず互いの手を握り、人だかりが出来た掲示板を覗き込んだ。


まわりのみんなの、落胆と歓喜の声が渦巻く中、それは遠目ながらも、はっきりと見て取れた。


音雨すみれの番号。


続く、エントリーナンバーの瀬々良木るりかの番号は


なかった。


「うそ!? うち、受かった」
びっくりして、音雨が目に涙を浮かべた。


「すみれ! よかった! やった!」


「で、でも、でも、るりかちゃんが…」


「うん。ダメだったね。しゃあ~ないって、こればっかりは」
明るく、るりかは彼女の背中をぽんぽん叩いた。


「うち、うち、るりかちゃんにいっぱい助けてもらって、たくさんチカラをもらって…」


「泣くな、泣くな。受かったんでしょ? 胸を張りなよ。
すみれ、いい? あたしは、あたし。
受かっても、落ちても、常に進むべき道はあると思うわ。
あたしね、もう一回自分がどうしたいか、見つ直したいと思うの」


「るりかちゃん…」


「すみれのおかげ。ホントにありがとう」


「うん。うちも、ありがとう」
言葉がいっぱい詰まって、すみれは喋れなくなってしまった。

 


その後、すみれは迎えに来てもらった母に連れられ、スタッフと一緒に今後の打ち合わせで呼ばれて行った。


「さ、帰るか、かなっぺ」


「おつかれさまー、帰りなんか食べてこっかー」


取り立てて、終始興味なしといったかなっぺの対応は、今逆に優しいのかもしれない。


「…ねぇ、かなっぺ。あたし」
るりかがうつむいたまま、声を出す。


「あたし、ちゃんとすみれのこと笑顔で送り出せてた?」
見る見るうちに、るりかの目から滝のような涙が、止めどなく出てきた。


「すみれが受かって…うれしい! こんなにうれしいことはない!


でも、超くやしい―――!


あたしだって、ガチだったんだから!


わ―――ん! バカ―! 運営のアホ―!」


「るりかは頑張ったわよー。すみれちゃんの前で、最後まで笑顔だったよー」


「ぐずっ、あたし、やっぱ女優向いてるわ。ぜったい」


それは、強がりとか、負け惜しみとか、決意とか、誓いとか、全部含まれた、彼女の言葉だった。

 


「ちゅーわけで、自己紹介がまだだったわね、あたし、瀬々良木るりか。 夢見る中2!」


るりかは、絵の具(みたいな格好をした)ネコ(風のぬいぐるみみたいなヤツ)の前で、一瞬シャットダウンしたような表情になったと思うと、急にカッと目を見開き、そんなことを言ってきた。


もはや何行か前までの出来事が、るりかの回想なのか妄想なのかよくわからない、危険な香りがしてきた。


ここは、瀬々良木るりかの自室。


絵の具ネコが電柱の物陰から、瀬々良木るりかに「何か」をお願いをしようとしたとたん、彼女は暴走。


一言も喋ることができず、説明も何もさせてもらえないまま、彼女の家まで拉致されて、クッションに座らせられ、現在に至る。


「あの…あちきは、【かあら】ですカラ。パステル・ワールドの使者ですカラ」

 


パステル・ワールドとやらの使者【かあら】は、やっと喋ることが出来た。


「カラ!? 語尾は『カラ』なの!? ちょ…、それ名前が【かあら】だからでしょ。安易じゃね? クオリティが中2」


むんずとかあらをつまみ上げるるりか。
「ほおら、どうせなら語尾は、メポとかミポとかにしちゃいなよ、うふふ…」と、無意味に頬ずりをする。


「きやぁあぁぁあ!」
逃げ惑う、かあら。


と、一瞬鈍く、黒いモヤのようなものが、るりかの胸元に現れた。


「んぁ…?」


るりかも異変に気づいたようで、自分の胸元を見た。
おかしいのは、制服のネクタイだ。


茶色、というか少し赤みのかかった茶色…
いわゆる、あずき色なのだが、瞬く間に、水に浸したように黒くなっていく。

いや、そんな中途半端に色が濃くなるという感じではなく、
墨汁にひたしたような、ツヤのない黒に染まっていく。
まるでネクタイが色を失い、暗黒の闇に帰すようなイメージだ。


「侵色(しんしょく)!」
かあらが絶叫した。


「ちょっ!? 何コレ!!」


「ネクタイの【あずき色】が…侵色されているカラー!
るりかちゃん! このままだと世界中の【あずき色】がぜんぶ真っ黒に」
絶体絶命的な表情で、かあらはるりかに訴えた。


「ガ、ガチでまっくろになった…」
彼女のネクタイは、ついには、お葬式用みたいに真っ黒になってしまった。


「【ダークネス・ガーディアン】!!
この近くで、【ダークネス・キング】に洗脳された【あずき色】のガーディアンが侵食しているカラ!」


「ほほう!
敵がいるのね!
であえ!
いくさじゃ!
いちもうだじんじゃ!」


るりかは、敵がいるとの情報を聞いて、血が騒いだのか、大いに興奮した。口調がなぜか殿様っぽくなって、よだれが垂れている。ちょっと。


「いや…、ちょっとまって」

「なんぞ?」

頭を鷲掴みにされ、宙ぶらりん状態のかあら。

「へ、変身のやり方を教えないと…」

「あっそうか!
え~っと、これでどう?
るりかオープンユアハート!的な!」


ぶおん、と、かあらがぶん投げられた。


もう、突っ込みどころが、いろいろカラ。いろいろですカラ~!


瀬々良木るりかがぶん投げたのは、パステル・ワールド使者かあらと、あと前半のあの素敵な空気だった。