ちえりパステルガァル!ライトノベルまとめ目次

第1話「ちえり編  」←ママ、せかいへいわしちゃっていいですか?まさかの懇願系変身少女!

第2話「るりか編  」←只今、執筆中!
特別版『ふたりはプリキュアMilkyWay&ちえりパステルガァル!スペシャル・ハーモニック  』



「うひゃあ~! 天下のるりか様もさすがにガクブルだったわ!」

 

 

個別の部屋から出てきたるりかは、外で待っていたかなとすみれに言った。 

今、歌の審査が終わったところだ。

 

「緊張してたのにえらそうー」

かなが茶化す。

 

「どうでした?」

とは、すみれ。

 

「まぁ、ぶっちゃけ、普通だったわ。

歌に関しては自信あるわけじゃないけど、ヘタってわけでもない。

しょーじき自分からみても

瀬々良木るりかの歌唱パフォーマンスは、フツー過ぎてつまんないわね。

審査してくれた人たちもそんな表情だった…」

 

るりかは冷静に自己判断した。

と、同時に、今後未来を見据えた時に、舞台女優を目指すとは言え、

歌うこともおろそかに出来ない、と思った。

今の時代マルチにこなせてなんぼだわ。

 

「冷静に分析するんですね、自分を」

 

すみれが感心した。

 

「ファンなのよ、自分自身の。ファンは厳しいでしょ。

でもガチで応援してくれるからね。愛をもって」

 

「変態ってことねー」

 

かなの言うとおり、着実に変態まっしぐらだが、本当に鋭く自己分析が出来るのならば、心が鉄になってそうだ。

 

「すみれちゃんはどうだった?」

 

「うまくできたかわからないけど、ミスは無かったと思います。あと、全力でやりました」

 

緊張がほぐれたのか、笑顔ですみれはいった。

 

「あんた、いちいち可愛い笑顔ね、おねいさんが抱きしめてあげちゃう~!」

 

萌えたるりかは、すみれをムギュリと両腕で締め付けた。

 

「むぐぅ…でもるりかさんのおかげです。いっぱい話しかけてくれたおかげで、緊張がとけました…!」

 

「まぁー、あたしら同期なんだから、るりかちゃんでいいわよ。で、このあとは3時からダンスか、でもダンスは、マンツーじゃないもんね」

 

名残惜しそうに、るりかはすみれへの密着を解除する。

 

「はい、普通にレッスンするみたいに、参加者みんな集まって、

ダンスの先生が前で指導するみたいです。

レッスンそのものの姿を見て判断するみたいですね」

 

「やばいわね、ダンスなんておどれっかしら…」

 

「やっつけ本番よー」

かなはあくまでも他人事だった。

 

「でもー、すみれちゃんは、なんで今更オーディションなんか受けるのー?

知る人ぞ知る、『音雨(おとめ)すみれ』じゃないー?」

 

なんとなくデリケートな部分を沢谷かなはガツンと聞いた。

るりかも正直気になる所ではあった。

 

そこまでTVに詳しいわけではないが、そんなるりかでも記憶にあるくらいの

いわゆる『音雨すみれ』は芸能人だ。

 

事務所の絡みとかいわゆる大人の事情的なものあるだろうに、

こんなにおおっぴらにオーディションを受けられるものなのか。

 

そもそもオーディションを受ける必要性があるのか。

 

「子役は、賞味期限が早いんです…」

すみれは、かぼそい声に戻って、そういった。

 

「しょ、賞味期限……」

 

「そうです。確かに一時期は注目されましたが、

そのあとすぐにもっと小さい女の子がバッと現れて、

それで歌を出したら大ブレイク。

うちはあっという間に忘れ去られました。

契約が決まっていたCMの話もすぐに無くなって、

その子に取って代わられました…」

 

「あー、いたいた。あの歌流行ったねー」

こら、沢谷かな。もうちょっと空気読め、とるりかは思ったが、

すみれに取って代わって大ブレイクした女の子も、あの人は今…だった。

 

「エグいわね、確かにそうだ。エグすぎる話だわ…」

るりかはゲッソリした。

 

 

「でも、良かったんです。今となっては。

あの頃は、小学校2年生で小さかったこともあるけど、

人気と名前ばかり先行しちゃって。

 

いつの間にか自分の知らないところで、話題になっていて、

街に出れば、自分のポスターがあって。

学校も行けなくて。友達とも遊べなくて。

 

何かわからない、変なチカラみたいのに

あっちこっちに引っ張りまわされて」

 

うらやましい気もするが、そのあまりの悲痛な表情をみると、

本気でかわいそうになった。

 

「とにかくゼロからのスタートなんです。

地方の小さな仕事とかもたまーにもらえるんですよ。

でも、うち、もう一度有名になりたいんです」

 

細く、か細く、控えめで、透明感があり、

「もやし」というあだ名の音雨すみれからは想像もつかないくらい

強い眼差しを感じた。

 

「その心は?」

 

るりかはすみれに興味しんしんだった。

すみれは頷いて話を続ける。

 

TVで、災害があった地域の特集を見ていたんです。

たまたまアイドルたちが訪問していて、

ちっちゃい子や、うちと同世代の子がそのアイドルと握手して

泣いていたんです。感動して!

 

すごいって思いました。

 

あの子たちは、その存在だけで人の心を震わすことが出来るって。

同じ人間なのに、なんでこんなに違うんだって。

 

それはやっぱり、有名だからだと思いました。

 

知名度があれば、いっぱいの人に希望と、勇気を与え、

心を震わせることができる…

 

だれかに光をあてることが出来るかもしれない。

 

本当にすごいと思ったし、そうなりたいって思いました。

 

あと、アイドルとして再デビューを目指すなんて正直自信はないです。

でも、役を演じ切ることは大好きなんです。

だからこの『クレヨンドォル!12』の企画はうちにドンピシャだと思って」

 

すみれは捲くし立てるように、思いを語った。

その力強さと勢いに沢谷かなも瀬々良木るりかもぽかんと口を開いたままだ。

 

「…ご、ごめんなさい…興奮しちゃって…」

 

それを聞いたるりかは、ぶんぶんと両手を顔の前で横に振った。

 

「ちがうちがうって、正直…あたしそこまで自分の夢を強く持ってなかったというか。

なんだか、すみれちゃんの言うことに感動して、自分が恥ずかしくなった。

あと、このオーディションも遊び半分、冷やかし半分だった…自分に…恥ずかしくて…ゴメンって思った」

 

るりかの夢は舞台女優だ。

その夢に対しては真剣だ。

だけど、すみれを見たら、そんな自分の真剣さがあまっちょろくて笑えてきた。

彼女の目的の先には、人の役に立ちたいという願いがあった。

 

それは、傲慢でも、勘違いでも、偽善でもなく。

 

己のチカラがどこまで、人の心を震わせられるかの挑戦だったからだ。

 

出来るか、出来ないかはともかく、そこに常に挑もうとして、もがいているすみれを見て。

 

瀬々良木るりかは彼女を「気高い」と思ったのだった。