特別版『ふたりはプリキュアMilkyWay&ちえりパステルガァル!スペシャル・ハーモニック
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第9章「真相」
●罠
未だに『ただいま準備中♪』の看板が掛かったままのデラタコカフェ。
デラタコビークルの前で、藤田アカネ・九条ひかりの二人が陣取っている。
そこから少し離れたテーブルには、瀬々良木るりかと、今までひかりに引っ付いていた英ちえり&分部みつばが座っていた。
この場にはひかりの弟・九条ひかると、そして何故か早瀬ゆとりがいない。
アカネ「ワルモノさん、果たして来てくれるかな?」
ひかり「来て欲しい…です。そうでなければ、他の手を思いつく時間はありません」そう言いながら、ちえり達のテーブルをチラリと見る。「ちえりちゃん達も、帰りの電車の時間がありますし」
アカネ「そうだったね」アカネ、腕時計をチラリと見る。「何とか今日中に誘い出さないと………」
一方、パステルガァル組が固まっているテーブルでは。
るりか「二人とも、どーしたの? さっきまであんなにくっ付いてたのに」
るりかが気にするように、二人とも妙に元気が無い。
ちえり「…うん」
みつば「はい…」
ぱれっと「大方『護ってあげる』何て大口叩いたのが、今更恥ずかしくなったのれすね」
かあら「ひかりちゃんも立派なガールズ戦士だった、という事カラ」
るりか「そっか」るりかはそれだけ言うと、ちえりとみつばの背中に回り、頭を優しくなでる。「行ってきなよ、お姉ちゃんのところへさっ。護るとか、そんな理由じゃなくてもいいじゃん。ほらっ」
ちえり&みつば「るりかちゃん………」
その時。不意に視界が真っ黒に染まる。
ぱれっと「『侵色』が始まりますた! でっ、デリートスが来たのれす~!!」
かあら「勢いが速すぎるカラ!」
一気に視界が暗闇に染まり、若葉台公園は全く見えなくなってしまった。
そして、
ちえり&みつば「あうんっ!?」
るりか「力が、ちか、らが、出ない、っ………」
先ほどよりもずっと早く、『侵色』の影響がパステルガァルの少女達を襲う。
テーブルにしがみつくこともできず、バタバタと倒れるちえり達。
ひかり「皆さんっ!」
アカネ「あんた達、大丈夫かい!?」
るりか「ううっ…いっ、いきなり戦力外!? ひっどーい!」
ちえり「お、お姉ちゃん! お姉ちゃん、っ………!」
ひかり達の前から若葉台公園は消え去り、代わりにねっとりとした暗闇が現れる。
ひかりは暗闇の中に眼を凝らし、アカネは本能的にイヤなものを感じたのか、腕を抱えて身悶えた。
「割と、すぐに会えたな」
不意に背中から声を掛けられて、ハッとして振り返るアカネとひかり。
そこには、デラタコビークルに腰掛けて、シミターを肩に担いだデリートスがいた。
デリートス「よう」
そのまま腰をずらして、スタッとデラタコビークルから降りてくるデリートス。
アカネ「あ、あいつが…!」
ひかり「ど、どうして、このタイミングで?」
デリートス「相棒が貴様から離れるのを、息をひそめて待っていた」そう言いながら、シミターの切っ先をアカネとひかりの間に向ける。「貴様らの『色』は、遠くからでもわかりやすい。おかげで近くで偵察する手間が省ける」
------どうやら、罠を張っていたことはバレずに済んだようである。
デリートス「用件は、覚えているな? 今度こそ、この車を頂いていくぜ」
アカネ「あ、あんたが、デリートス、だね?」
デリートス「貴様は………そうか、この車のオーナーか」
ひかり「そうです。申し訳ありませんが、この車は渡せません! 帰ってください!」
デリートス「そうはいかない」ひかりを敢えて無視し、アカネの目を見てキッパリと言い放つ。「前にも言ったと思うが、俺様はワルモノだ。頂く時は力尽くで頂く」
アカネ「ううっ…」
●真打ち登場
「ソコまでよっ!」
その時、ひかりの後ろから、デラタコビークルのドアを開けながら出てきたのは------
ゆとり「そんなコト、アタシ達がさせないっ!」
今まで居なかったはずの、早瀬ゆとりであった。
デリートス「もうひとりの、プリキュア!?」
本当に予測できなかったのか、デリートスの声は真剣に驚いている様子である。
デリートス「………成程。貴様ら、そいつの『色』を塗りつぶしたのか!」
ぱれっと「そーなのれす!」ぱれっとが代わりに答える。「パステルガァル程強くはないれすけれども、人やモノには何にれも、それぞれ固有の『色』の力が付いているのれす」
かあら「ゆとりちゃんの『色』の力を、かあらたちがデラタコビークルの『色』に塗り替えて、貴方の目から隠したカラ!」
ひかり「代わりにゆとりの『色』を付けてもらっているのは、ひかるちゃんです。…今ちょっと、お使いをお願いしている所なんです」
ゆとり「ひかる君を危ない目に遭わせる訳には、いかないもんネっ」
デリートス「んむ………」
特に焦る訳でもなく、押し黙っているデリートス。
ひかり「そして、あなたを『ある場所』にご招待します。------セインフ、スワンフ!」
セインフ「了解だセイン。スワンフ!」
スワンフ「わかったのスワ~ン!」
セインフ&スワンフ「いざ行かん、ミルキーウェイシップへ!!」
光の柱がひかゆと、アカネ、パステルガァルの三人と、そしてデリートスを囲む。
デリートス「っうおっ!?」
そのまま、全員の姿が若葉台公園から消えてしまった。
●決戦の舞台へ
セインフ「着いたセイン!」
目映い光の柱が消え、ひかり達が姿を現したのは、何故かまだ闇の中である。
しかし足下からミシミシ、と甲板の板がきしむ音。どうやら目的地にはちゃんと着いたらしい。
ゆとり「今回は羽で飛ばなかったの?」
スワンフ「デリートスもいるし、人数が多いから、今回だけ特別なのスワン」
アカネ「これが、ミルキーウェイシップ………」巻き込まれて一緒に着いたアカネ、初めて乗るミルキーウェイシップを見渡す。「って、真っ暗で全然見えないじゃん」
ひかり「みたい、ですね…」
セインフ「デリートスと一緒に、フィールドまで持って来てしまったみたいだセイン」
アカネ「ついでにあたしも居るし。本当に緊急措置だったんだね」
スワンフ「ごめんなさいなのスワン」
みつば「ううん…あっ、ちえり様っ!」
ちえり「あはっ、立てるようになったね、ぶんぶん~」
るりか「っしゃあ! それじゃあ、あたしたちも加勢…」とラピス・ブレイドを取り出そうとして、フラリと体勢を崩す。「…っと、っと。あ、あり?」
かあら「るりかちゃん、まだ無理カラ!」
ぱれっと「いきなり『侵色』されて、みんなの力が弱ってるのれす。やっぱり、このフィールドを何とかしないと…」
るりか「ですよねー」るりか、ガックリと肩を下ろす。「あーあ、せっかくのお船もボンヤリとしか見えないし、まだ足手まといかぁ」
デリートス「これは、兄貴の言っていた………」一方のデリートスは、ひかり達を無視してあたりを見回している。「まさか、こんな物まで持ち出されるとはな」
ひかり「ええっ? いったいどういう意味ですか?」
ゆとり「トボけたってムダよ! 貴方のホントの目的は、このミルキーウェイシップじゃないの!?」
るりか「ゆ、ゆとりっ!?」
アカネ「コラコラっ、自分からしゃべってどーすんの!」
ゆとり「あ、あう!?」
自分のミスに気づいたのか、口をパクパク、両手をバタバタさせるゆとり。
●ワルモノが欲しかったモノ
デリートス「貴様らは考え過ぎだ。俺様が欲しかったのは、この船を見せられた今でも、あのメシを作れる車のままだぜ」
ひかゆと「ええっ!?」
アカネ「それは本当に………なのかい?」
デリートス「ああ。最初からそう言ってるじゃないか」
るりか「確かにそーだけど、でも、まさか………」
みつば「あんな小さなお店…」と言いかけて、これはアカネがいる前ではマズイ発言だったと慌てるみつば。「と、ととととと、とにかく………」
ちえり「ワルモノさん、どーしてあの車のお店が欲しーの?」
デリートスは左右に首を振ると、ひかり達とちえり達を交互に睨み、彼女たちの頭に染みこませるように語りかける。
デリートス「あの車には、とても濃い『色』の力が込められている。あの車に呼び寄せられる者達の、希望・喜び・苦悩・涙、そして幸せ」
ひかり「呼び寄せられる者…お客さんの事ですね」
デリートス「そうなるのかな。それらが折り重なり、丁寧に塗り込まれているのさ」
アカネ「でも、でも何でウチなんだい!? お店なら、デカイのが他にも色々あるじゃないか!」
デリートス「丁寧、と言っただろう? 『色』の力に店の大きさなど関係無い」
アカネ「う、ううっ…」
何だか誉められているようで、アカネは少々背中がムズムズ気味。相手がワルモノで無ければ、お礼を言うべきなのかも知れない。
デリートス「貴様があの店で塗り上げてきた『色』、そしてもう一人」言いながら、ひかりの方をチラリと見る。「もう一人はプリキュアときた。貴様が居ることも、あの店に極上の『色』の力が塗り重ねられた原因かもしれないな」
ゆとり「ひかり、が?」
デリートス「そうだ。それを確信したのは、あの鉄板の『色』の力を頂いた時だったがな」
ひかり「あの、鉄板………」
灰となって消え散ったモッフルの鉄板。あの悪夢のような光景が、ひかりの脳裏に蘇る。
デリートス「貴様らが積み上げた『色』の力。『世界無色計画』を達成させるのに、これ程都合の良いものは無い」デリートスはひかりから目線を外し、恐らく見えているであろう星空を見上げながら、シミターを持つ右腕を天高く掲げる。「貴様らと、貴様らを取り巻く『色』の力を、すべて頂く。そうすれば『モノクローム・フィールド』の力は、絶大なものとなるだろう!」
そのままシミターの切っ先を、ひかりの方へゆっくりと向けながら、最後にこう言って締めた。
デリートス「どうだ。ワルモノらしいだろう?」
ひかり「………。はい。貴方のやろうとしている事は、もう間違い無く、ワルモノそのものです」
デリートス「だったら………」
ひかり「お断りです!!」
ひかり、デリートスを引っぱたくように大声で叫ぶ。
ひかり「貴方の言う『色』の力というのは、アカネさんと私と、ゆとりと、ひかるちゃんと------」
逆上したひかり、そのまま真剣な表情で、思いのままに叫び続ける。
ひかり「なぎささん、ほのかさん、奈緒、美羽、えっちゃん、学校のみんな。ポルンやルルン、セインフとスワンフ………それに、それに………ちえりちゃんやみつばちゃん、るりかさんっ!!」
ぜえぜえ、と荒い息を吐くひかり。デリートスは圧倒される様子も無いが、何も言い返してはこなかった。
ゴクリとつばを飲み込んだ後、アカネやゆとり、そしてちえり達の方を振り向いてから、改めてデリートスを睨み付ける。
ひかり「みんなで………みんなで積み上げて来た、大切なものなんです! 貴方のような人には、絶対に渡しませんっ!!」
ゆとり「そ~いう、コトなの」
ひかりとは対照的に、クールを装うゆとり。しかしその心の中は、すでに激しく沸騰している。
ゆとり「そんでもって、アナタをここから出すわけにはいかないわネ。………ひかりっ!!」
ひかり「うんっ!!」
手を繋ぐ二人。白銀の炎に包まれる。
ひかゆと「ツーショット・ハーモニック・レイディエイション!!」
●プリキュア、変身!
二人が叫んだその瞬間、暗黒の世界に光の渦が巻き起こる。
その中から、光輝くふたりの勇者が姿を現した。
ルミナス「とわに純なる、光輝の使者・ピュアキュアルミナス!」
ラピッド「とわに純なる、光速の使者・ピュアキュアラピッド!」
ルミナス「煌き!」
ラピッド「駆け巡る!」
ルミラピ「『ふたりはプリキュア』っ!!」
ラピッド「時の流れを捻じ曲げる、あなた!!」
ルミナス「素直な心に、お戻りなさいっ!!」
るりか「あれが、プリキュア!? マジすごいじゃん!!」
ぱれっと「すごいのれす。マジ完璧すぎる変身なのれす~☆」
ひかゆとの変身を間近で鑑賞して、お目々キラキラ状態のるりかとぱれっと。
かあら、プリキュアにときめいているぱれっとをガツッと叩く。
ぱれっと「な、なんで僕だけれすか………(気絶)」
ちえり「ひかり、お姉ちゃん………」
みつば「お姉、さま………」
二人、ちえりとみつばだけがポカーンとしていたが、
ちえり「ホントに変身できるんだ! お姉ちゃん、ゆとりお姉ちゃんも、すごおい!」
みつば「可愛いのに、かっこいい! まさにハンサムガールですわ~☆」
と、変身後の姿に大喜びであった。
黄色い声援を受けて、ルミナスはちょっと照れ笑い。
ルミナス「アカネさん………ちえりちゃん達も今は、安全な所へ隠れていてください」
ラピッド「るりか、お願いっ。こんな暗闇、すぐにパアッと明るくするからネっ!」
るりか「了~解!」
みつば「さっ、お姉さまはこちらへ。足下に気をつけて」
アカネ「ありがと、みつばちゃん」アカネはみつばの手を取ると、もう一方の手でサムズアップのジェスチャーを取り、ルミナスの前にぐっと突き出す。「頼んだよ。ルミナス、ラピッド!」
ルミナス&ラピッド「はいっ!!」
ちえり「おねーちゃん、がんばってっ!」
みつば「頑張ってくださいませっ!」
ルミナス「うん!」
そのまま、ちえり達はミルキーウェイシップの物陰に隠れる。
ルミナス「そういえば、プリキュアになれたのに、まだ暗闇のままだなんて…」
セインフ「モノクローム・フィールドの力が強すぎるんだセイン」
スワンフ「ルミナスの光輝の力を抑え込むなんて、ありえないのスワン。二人とも、気をつけるのスワン」
ラピッド「ラジャっ」
デリートス「残念だったな。少しでも有利になったとでも思ったのか」
ルミナス、ニコリと笑顔になると、
ルミナス「ええ。これで形勢逆転です。わたし達は、絶対に負けませんっ!」
と、穏やかに断言する。
デリートス「言ったな。ならば------」
●形勢逆転
ルミナス&ラピッド「たぁああああーっ!!!!」
デリートスが最後まで言い終わる前に、前置きもなくデッキ上をダッシュするプリキュア。
ほう、という口まねをすると、デリートスはそのまま切り伏せようと、シミターを構える。
…しかし、あと3歩踏み込めば激突するというところで、プリキュアの二人は左右に分かれた。
コンパクトにジャンプしたラピッドが、まずはデリートスに接近。
ラピッド「いただきっ!!」
デリートス「っしゃくな!」
シミターをラピッドの肩目がけて振り下ろす。
しかしラピッドは、
ラピッド「なんて、ネっ!」
と、寸手の所で小さくバックステップする。
ルミナス「やああっ!」
代わって、後ろに回り込んでいたルミナスがデリートスに正拳突きを放った。
しかし、これはデリートスには読まれていたのか、
デリートス「ちっ!」
と左腕でガードされてしまう。
そのまま衝撃を受け流され、さらにクルリと後ろに回り込まれると、
デリートス「ぅらあ!」
と強力な蹴り上げをお返しされてしまった。
ルミナス「あぅっ!」
ガードこそ間に合ったものの、反動で上空に跳ね飛ばされるルミナス。
ラピッド「ルミナス!」
ラピッドは叫ぶよりも速くジャンプし、ルミナスを抱きかかえる。
そのまま落下する------かと思いきや、パフッという音と共に、二人は何か柔らかいものに包まれた。
ラピッド「エヘヘっ、上手くいったっ」
ルミナス「ありがとう、ラピッド」
二人を衝撃から護ったのは、ミルキーウェイシップのセイルであった。
そのまま反動でポンッとジャンプした二人は、デリートスの前にタタッと着地する。
デリートス「なるほど、そういう事か…」
ルミナス「わかって頂けましたか? この場所なら、ミルキーウェイシップなら、わたし達は何も見えなくても戦えるんです」
ラピッド「それにアタシ達、目隠ししたってコンビネーション抜群なんだからネッ!」
ルミナス「それに…このまま戦い続ければ、貴方もただでは済まないのではないですか?」
ルミナスは先ほど正拳突きを放った握り拳を掲げると、その手をパッと開く。
そこから、パラパラと灰色の灰がこぼれ落ちた。
デリートス「………」
特に焦っている様子は見られないが、目にははっきりと憎悪が見える。
ラピッド「アカネさんの推理、正しかったんだネ」
ルミナス「うん」ルミナスは手を掲げたまま、デリートスに向かって宣言する。「あの時のシミターのように、貴方自身も『侵色』の影響を受けているんですね!?」