「あかねさんお忘れになってますわ…!」
そういって、みつばは何やら布の塊を取り出した。

「これ、胴着とかの帯?」
るりかは布を広げた。そう、布ではなくたしかにこれは帯だ。

「そういえば、はじめにあかねさんを公園で見つけたとき、この帯を見て、何か思い詰めたような表情だった気がしますわ」

「じゃああたし。届けるわね」

「だ、大丈夫ですの?」

「大丈夫よ。天下のるりか様よ」

「それに…あのレッドとかいう男も」

みつばは心配する係のごとく、るりか確認した
 
「だ~いじょぶ大丈夫。めったに現れないし、しかも色的に属性が逆だからラピスはイケる気がするわ。うひひ」

「??」

るりかはマニアックな笑みを浮かべてみつば邸をあとにした。



「こんにちわ~!」
るりかはあかね家のドアをノックした。
普通の建て売り一軒家だった。

「え、まだ帰ってないんですか」
るりかにあかねが帰って来てないことを告げたのは彼の兄のようだ。
兄は車椅子だった。怪我でもしているのだろうか?

るりかは兄に帯を手渡した。
「これをあかねが? そうですか、まだもっていたんだ…」
兄は少し寂しげな表情で言った。

「ええ、大切に持っていたそうで」

「これは昔、僕が妹にあげたんですよ。空手は昇級すると帯の色がかわるんです」
聞くともなしに兄は語り始める。

「昔は良く話したのになぁ…最近は口も聞かない」
遠い目で語る兄。年齢はハタチぐらいだろうか?

「まあ中一ですから。私も含め多感な時期ですからねぇ。異性の兄弟とはなかなか折り合いがつかないですよね」

「だと良いけれど。この足が使えなくなってから、あかねは口を聞いてくれなくなったんだ…」
そう言って兄は軽く自身の車椅子を叩いた。