前回が初回のこのシリーズですが、思いがけずたくさんの反響を頂き嬉しい限りです。
コンサートに於いてアクシデントは無いに越した事はありませんが(特に演奏者にとっては尚更!)、アクシデントと一口に言ってもその性格は様々。
中には、そのアクシデントがあったお陰で、コンサートの思い出がより鮮やかで生き生きとしたものとなる場合もありますから、必ずしも悪いばかりではありませんね。
アクシデントもまた、生ならではの醍醐味・楽しみと言えるかもしれません。








小さな花と大きな木☆パリ帰りグルメ猫とピアノ日記 in 宮崎-130503_1834~01.jpg



シリーズ第2回の今日はブレンデル。

写真のサインでもわかるように、1999年6月8日のコンサートでした。
場所はパリのサル・プレイエル、パリを代表するコンサートホールです。
サル・プレイエルでは、毎年この季節(5月中旬~6月末)は、次々とピアノの世界的巨匠がコンサートを行う“巨匠コンサートシーズン”です。

ルプー、ポリーニ、ペライア、ツィメルマン……

この時期にサル・プレイエルに招聘されるピアニストはまさに大物ばかり。それが僅か1ヶ月の間に一気にあるワケですから、ビンボー学生はどのコンサートに行くべきか頭を悩ませるのです。
とは言え、日本とは比べものにならない安さで聴けるのですが。ちなみにこのブレンデルのコンサートも、一番良い席で5千円程でした。






ブレンデルを生で聴くのはこれが初めてでした。詳しいプログラムは失念してしまいましたが、モーツァルトやベートーヴェンを並べたクラシカルなプログラムでした。
最初はモーツァルトでした。初めて聴くブレンデルの音に期待が膨らみます。


第一音が静かに響いた次の瞬間、事件は起こりました!

なんと、観客席から携帯電話が鳴り響いたのです。

ブレンデルは一瞬にしてピアノからサッと手を下ろし演奏をストップ。会場は凍り付きました。

しかし、凍り付いた雰囲気を察したブレンデルが、固まった表情をすぐに緩め
“アロー(もしもし)”
と言って、皮肉を込めつつも空気を和らげました。ブレンデルのウィットに、会場はホッとしたような笑いに包まれました。
携帯が鳴った人はきっと二度と同じ過ちを犯さないでしょう。

お馴染みの分厚いメガネの向こうに、ブレンデルの神経質な面と茶目っ気の両面を垣間見た気がしました。


肝心の演奏は、正直なところ私はピンと来ませんでした。なのにサインを貰っている私は単なるミーハーです(笑)