“コンサートアクシデント”、新しいシリーズです。



私は今まで国内外でたくさんのクラシックコンサートを聴いて来ました。もちろん、素晴らしい演奏によって大きな感動を得る事も少なくありません。
が、その中でも予期せぬ事態~演奏者自身のアクシデントや、客席やホールや楽器の思いがけない出来事~により印象に残っているコンサートと言うのは皆さんもご経験があるのではないでしょうか?
驚いたり、怒りを覚えたり、あるいはアクシデントがあった事で演奏者の素顔・人柄が垣間見えて親近感を持ったり、ますますファンになったり。。。
そんな、“生”ならではのアクシデントについて語るシリーズです。







小さな花と大きな木☆パリ帰りグルメ猫とピアノ日記 in 宮崎-130402_1716~01.jpg






初回の今日はロシアの巨匠リヒテル。
私の記憶に残っているピアノリサイタルの中で最も古いコンサートです。
私が小2の時でした。
飛行機嫌いなリヒテルの貴重な日本でのリサイタルでしたが、なんと私の住んでいた群馬県にも来て下さったのです!



会場は、緊張感が張り詰めていました。何しろ大巨匠な上、プログラムは当日まで未定、譜めくりさん同伴で楽譜を見て弾かれる為、会場は極端に照明を落として暗く、ステージ上の、ピアノの譜面台のみが小さなライトで照らされていました。
この時、私は正式なピアノリサイタルを聴くのこそ初めてでしたが、自分が弾いた発表会などの会場とは明らかに違う雰囲気から、これがかなり異例なのだと気付いていました。








ホール関係者は開演前からピリピリ。
花束や音の出る大きな袋を持っている人などが居ないか、係員が客席に目を光らせながら見回っていました。


その時でした!

見回っていた係員が私の前で足を止めました。
そして、こう言ったのです。


“お嬢ちゃん、静かに聴いてね”




私は母と2人で聴きに行っていましたが、静かに座って開演を待っていました。係員としては、子供と見るや全員に同じことを言って回っていただけなのでしょうが、私は子供ながらに“失礼しちゃう!”と憤慨しながら
“はい”
と答えたのを鮮明に覚えています(笑)


これが私にとって初のコンサートアクシデント。







プログラム未定で始まったコンサートでしたが、曲目は終演後に書かれていませんでした。昔ですし、地方ですし、まぁ書かれていたところで小2の私が知るはずも無いのですが。
覚えているのは、聴いたことも無いピアノの響きとリヒテルの真剣な演奏姿。
除夜の鐘のようにゴォ~ンと鳴り響く音に驚嘆しました。

そして、地方の小さなホールにも関わらず、曲が終わる度に正面、右、左と三方向にゆっくりと頭を下げてお辞儀をする様子は、律儀で真面目なリヒテルの気質を子供心にも感じました。



リヒテルの演奏を生で聴いたのはこれが最初で最後でした。

私が初めて聴いたピアノリサイタルは、とても貴重なものとなりました。