小さな花と大きな木☆パリ帰りグルメ猫とピアノ日記 in 宮崎-090522_1431~01.jpg
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月末恒例のお薦めクラシックです。
梅雨ですね~。各地で猛暑とスコールのような豪雨で熱帯のような蒸し暑さが続いています。
そんな今月は梅雨に絡めて“雨の日に聴きたい音楽”と気取りたいところでしたが、雨に纏わるクラシックピアノ曲は何曲かしか無いのでちょっと無理矢理ですが水に纏わる音楽をご紹介します。写真もこれまた無理矢理ですが、“水玉模様”のマフラーをお布団がわりに寝ているノアゴンです(^w^)popさんがヨージに勤めていた頃の古~いけれど高~いマフラーです。さすが奇抜なデザインです(笑)




水に纏わるピアノ曲。やはり最初はフランス印象派から行きましょう。まずはドビュッシー。雨の庭や水の反映、そしてオンディーヌ(水の精)。雨の庭は版画の中の第3曲。雨が降りしきる様子が伝わって来ます。恩師安川加寿子先生の言葉を引用すると。。。
~夏の暑さに乾き切ったパリの木立の上に軽い夕立が降り注ぐ感じ。そしてまだ雨の上がりきらないうちに燦々と太陽が笑顔を見せる後半部~

版画は第1曲と2曲の“塔”と“グラナダの夕べ”がこれまた何とも雰囲気漂う曲です。塔はあっという間に夢の中のような光の国へと導いてくれます。グラナダのちょっと気だるい感じは異国情緒たっぷりで、思わずワインでも片手に夏の夜に聴きたくなります。スペインの花と土の香りの立ち込める夜が描かれています。飛行機に乗らずとも梅雨の日本を瞬時に脱する事が出来ちゃいます(^∀^)



水の反映は全3曲ある映像第1集の1曲目。まさに水の反映するキラキラと揺らめく水面をそのまま映し出した曲です。映像を音楽にしているのです!モネの睡蓮のような美しい水面を音楽で観ている感じがするでしょう。第2曲“ラモー讃”はサラバンド風な曲です。荘重で叙情的な、やや憂鬱な優雅さのある素敵な曲です。第3曲は“運動”。題名通り非常に軽やかな楽しいムーブメント。私の高校時代からの愛奏曲です。


前奏曲第2集に収められているオンディーヌは水の妖精。ドビュッシーの描くオンディーヌは、ちょっと人にイタズラをするような茶目っ気のある魅力たっぷりな妖精です。



他にも喜びの島や前奏曲第1集の“帆”は海を進む小舟のたゆたう感じが楽しめます。

お馴染みサンソン・フランソワ(東芝EMI)がお薦めです。水の反映は余りに素晴らしい輝きの録音をイタリアの天才ミケランジェリが残していますのでそちらをどうぞ!




次にラヴェル。ドビュッシーと同じくオンディーヌと言う名曲があります。大曲夜のガスパールの第1曲がオンディーヌ。ラヴェルのオンディーヌはドビュッシーのオンディーヌに比べるとちょっとオドロオドロしい妖しげな感じです。しかしその澄み切った冷たい曲想は、一気に水の世界へと引き摺り込まれてしまいます。引き摺り込まれた世界の続きの第2曲は絞首台、第3曲はスカルボと言う悪夢と幻想の詩の世界が繰り広げられます!
特にスカルボはテクニック的にも大変な難曲として知られますが、凄みのあるフランソワの演奏で時を忘れてご堪能下さい。



そして水の戯れ。この曲も夜のガスパール同様、詩と密接に結び付いています。ドビュッシーの水の反映に勝るとも劣らない、まさに水を感じる曲です。冷たくクリスタルのように輝いて、ドビュッシーの絵画的な手法より精巧な質感の水。この曲は私と故安川先生の出会いの曲です。高校時代にもう1曲ハイドンの名によるメヌエットと言うラヴェルの小品と共に弾いて、あるオーディションの全国大会で選抜されてお茶ノ水のカザルスホールで受賞者演奏会に出演した思い出深い曲です。
ラヴェルの唯一の弟子でもあり私の師の師でもあるペルルミュテールの硬質で透明感に溢れた水の輝きをお楽しみ下さい。



他にも鏡の曲集の中に洋上の小舟と言う、壮大な大海原のうねりに揺られる一艘の小舟を描いた作品もあります。鏡の曲集は蛾、悲しき鳥、道化師の朝の歌、鐘の谷など大変印象的な美しい曲揃いです。同じくペルルミュテールの演奏でどうぞ。
◆ラヴェルピアノ作品全集 1:
鏡、水の戯れ、亡き王女の為のパヴァーヌ、夜のガスパール

ヴラド・ペルルミュテール

日本コロンビア(Nimbus Records)




そして次に同じくフランスの作曲家フォーレ。魅力溢れる曲たちをたくさん残しているにも関わらず、ドビュッシーやラヴェルに比べるとあまり知られていないのは非常に残念です。代表作は心温まるピアノ連弾曲ドリーや、余りに素晴らしいレクイエム、生き生きと明るいヴァイオリンソナタ1番、美しく悲しげな歌曲“夢のあとに”辺りでしょうか。

そのフォーレの水の音楽は舟歌です。舟歌と言うとショパンの舟歌が有名ですが、フォーレは舟歌を長年に渡り13曲も書いています。いずれも4分前後の小品。初期から晩年への作風の変遷が興味深く聴けます。優しい叙情性のたゆたう小舟から異様なまでに深く暗い海、ゴンドラを壊さんばかりの激しさ、物憂げで甘美なさざめき、重苦しくノスタルジックな余韻を残す舟歌。。。
フォーレ独特の穏やかさと、ベルベットのような滑らかな柔らかさの間から湧き起こる想像を超えた美しさを体感なさってみて下さい。
上品なフランス紳士ジャン=フィリップ・コラール(東芝EMI)が舟歌全集を出しています。
我がエコールノルマルの創設者でもあるコルトーやロベール・カサドシュのフォーレも絶品ですが多分CD入手困難かもしれません。



最後にショパンの水の世界をご紹介します。前述の舟歌やエチュード“大洋”は有名ですね。舟歌は朗らかな美しい波の動きなのに対して、大洋はともかく激しい嵐のような海!演奏者も、両手が下から上へと休み無しの体力の必要なエチュードです。個人的にもずいぶんお世話になった海老彰子さんの演奏(NEC:ショパン練習曲全集)をお薦めします。舟歌は変わったところでプレトニョフ(virgin:ショパンソナタ2番他)が頭脳明晰な彼らしい面白い演奏です。アルゲリッチやチェルカスキー、そしてリパッティの聴き比べも楽しいところ。弾き手によってゴンドラだったり遊覧船だったり漁船だったり、はたまた海賊船だったり競艇だったり!?



ショパンの水に関連した曲はまだあります。バラード2、3番がそれ。もともとショパンのバラードは4曲とも母国ポーランドのミッキエヴィッチの詩から着想を得ています。本来バラードとは“物語を歌う歌曲”ですが、ピアノの詩人ショパンの語るバラードはいずれもドラマチックで音楽的。
2番は優しく純粋な佇まいの曲ですが“ウィリス湖”と言う原詩から作られ、ロシア軍に包囲されたポーランドの村の乙女たちが、凌辱から逃れたいと天に祈ると地が割れて湖が現れ、その湖に乙女たちは次々と身を投げたと言う悲話。

3番は華麗で甘美な恋の香りですが、貞操を誓う男を信じられない女が、ある夜に水の精に姿を変えて男を誘惑すると男はすぐにその気になってしまうと言う男女のお話。

シプリアン・カツァリスがバラード&スケルツォ全集で手堅く魅力を伝えています。



水に纏わるピアノ曲、楽しんで頂けたでしょうか?まだまだ他にもありますが、特に私の好きな作曲家からご紹介しました。
梅雨の鬱陶しいジメジメも音楽で爽やかに乗り切りましょう♪
素敵な週末を(^∀^)ノ