080328_1345~01.jpg
読み入ってしまう本です。ピアノ好きで無くても、物語性もあって楽しく一気に読めます。




舞台は題名の通り、パリ左岸の小さなピアノ工房。パリ在住のアメリカ人である著者が、この一見何をやっているのか良くわからない謎めいた店構えのピアノ工房に興味を持つ所から始まります。そこで出会う人々とのドラマ、ピアノと言う楽器を修復する事の面白さ、一台一台のピアノの個性や魅力、そして何よりピアノを作り直す事に情熱を注ぎピアノを熱愛する工房の職人リュック。ピアノに纏わるめくるめく世界と、それを取り巻く魅力溢れる人々が次々と繰り出されます。




天才だけどアル中の調律師の話、リュックの素敵な恋人マティルドの話、グランドピアノを一人で背負ってパリのアパートの狭い階段を登って部屋に運ぶ男の話…




この本は、もう何年か前に読んだのですが、ピアノを見る目が変わりました。そして、読んでからピアノの構造や、いろいろな木の素材にも興味を持ちました。




現代のピアノの殆んどは、高級家具にも使用されるマホガニー、ウォールナットの木、ブナの木やオーク材で作られています。マホガニーはその美しい木目を生かす場合が多いので、黒塗りのグランドピアノ等はブナの木やオーク材や樫の木です。マホガニーが良く使われているのは猫足の艶やかな栗色のピアノ。




しかし、この本の中には様々な木で作られた、様々な時代の、様々な国の、様々な形をしたピアノが出て来ます。彫刻が施されたり、金属プレートに飾り文字で社名が書かれたもの、真鍮の蝋燭立ての着いたもの。レモンウッドやトリネコの木、サテンウッドで出来たピアノの響き☆ 私が大金持ちだったら、あらゆる木でピアノを作り、それぞれがどんな音を奏でるのか試してみたい! なんて楽しいでしょう。夢の様な世界です。




ピアノと言うとピアノを弾く人に限られてしまうので、例えばおうちの床やドア、テーブルやタンスで考えて見て下さい! 日本人は檜のお風呂なんかが好きですからお風呂でもいいですね。




例えばローズウッドと言う木。名前の通り、バラの馥郁たる香りがする木です。こんな木でピアノでも、テーブルでも、お風呂でも作れたらどんなにか素敵な事でしょう!ヨーロッパではその香りを生かして、ブラシや鏡、鏡台、タンスが作られます。




ピアノの場合は基本的に、硬めの木で無いと良い音は出ないのですが、花梨の木やメープルの木なんかもいいでしょう。ちょっと野球のバットとも似ています。




以前、ヤンキース松井選手のバットは、カナダ産のメープルの木で作っていると言うのを聞きました。メープルの木は硬くて飛びも良く、向いているんだとか。メープルシロップの香りがするのかなぁ(笑)




写真はカナダ産のメープルシロップ。メープルシロップは余り好きで無かった私を虜にした物です。何しろ香り高い!コクがあって、後味も良く深みがある☆ これが木から採れるんだから、木って凄いなぁ。




猫好きピアノ弾きとしては、マタタビの木でピアノを作ったらどんなにか面白いと思うのですが!! ハメルーンの笛吹き男じゃないけど、ピアノを開けてメロディーを奏でたら周りじゅう猫だらけになったりして~(笑)



◆パリ左岸のピアノ工房

T.E.カーハート著


新潮社