日々の診察で、飼い主さんから猫のお看取りについてのご質問を受けることがあります。いろいろ考えまして、飼い主様向けのターミナルケアのマニュアルを作りました。「あなたの猫チャンが安全に天国に行く方法」を、獣医師としてのこれまでの経験と論文や教科書(なかなか記載がないのですが)などをもとにまとめました。
全文をここにご紹介いたしますが、前編後編をまとめ、さらにご質問に対するお答えを追加したものをPDFにして当院のHPに置いてございます。ご利用ください。
うちで飼っていたメインクーンミックスの雄猫「カッツ」(ドイツ語で猫という意味)は17歳6カ月で天国に逝ったのですが、亡くなる3日前まで普通にごはんを食べて歩き回って過ごし、その後はまるで電池が切れたかのように動かなくなり、3日後に安らかに逝きました。カッツの天国に逝く前の写真もマニュアルの中で紹介しています。
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はじめに
猫がもうすぐ天国に逝ってしまう…心配や不安を感じますよね。でも本ニャンは、自分のおかれた運命を呪う事なく淡々と歩んでいきます。そのときのお看取りに正解はありません。
貴方は飼い主として多くの時間を一緒に過ごしてきたのだから、誰よりもそのニャンのことを知っています。猫チャンを信じて、「その子らしくいられることを尊重」してあげましょう。
そして、残された時間を一緒に大切に過ごしましょう。食べなくなったら…点滴をしなければ、残された時間は1週間といったところです。点滴をすれば1カ月程度のこともありますが、投与した点滴を自分で処理できなければ胸やお腹に水がたまり、あるいはそれが原因で亡くなることもあります。
●18日前です。さすがにガリガリに痩せているので洋服を着せています。このころ、夜は芯から冷えるらしく、私の布団の中に入って来ていました。
これからどうなるの?
・眠っている…というより目を開いていても周囲の物音に反応しない=意識を失っているような時間が多くなってていきます。ただし、最期まで耳は聞こえているといわれていますから、声掛けなど話しかけてください。
・食べたり飲んだりが減る、あるいは全く食べない飲まないこともあります。
・オシッコの色が濃くなる(脱水や黄疸になるため)、肩で息をする、手足先が冷たくなるなどの変化があるかも知れません。
・便秘になる場合、肛門近くまで便が来ているようであれば掻きだしてあげるのもひとつです(かかりつけ獣医師に連絡してください。)
・痩せ細り全身の筋肉が落ち、歩きにくくなります。
*このような変化が無く急に亡くなることもあります。
●亡くなる21日前です...まだフサフサモフモフでした!
本ニャンは苦しいの?痛いの?
・飲まず食わずでいると脱水していきますが、脱水している方が痛みや辛さが和らぐといわれています。
・特に腎不全の場合、口の中に何も異常が見当たらなくても口の中を気にする子もいます。
・体内の酸素が不足したり肝臓や腎臓の働きが悪くなると体にとって有毒な物質が排泄されずに蓄積し、それによって粘膜が刺激されたり、いつもと違う行動をしたり痙攣が起きたりすることがありますが、苦しい訳ではありません。
・がんを患う猫の場合、突然強い出血が起こることが有りますが、多くは終末期に突然の出血が起きて間もなく意識を失い、亡くなります。(出血がいつ起こるかを知ることは困難です)
痙攣が起こりました
・体内の酸素が足りなくなったり、肝臓や腎臓の働きが悪くなって体に有毒な物質が排泄されずに蓄積すると、それらが粘膜や皮膚を刺激して痛みや痒み、違和感を引き起こします。また脳神経も刺激され、いつもと違う行動をしたり、痙攣が起きたり筋肉がピクピク動いたりしますが、苦しいわけではありません。
・痙攣が起きたとき、発作でものにぶつかって怪我をしないように、寝ている場所の周りは片づけましょう。
・終末期の痙攣の多くは短時間で治まります。可能であれば抱っこをして治まるまで見守ってあげてください。
お漏らしをしました。もう立てないです
・食欲が落ちてしばらくすると、体重が急に落ちて全身の筋肉が痩せてきます。そうなると、歩きにくくなったり身体を動かしにくくなったりします。顔の筋肉が落ちて目がつり上がってって見えることもあります。
・寝ているままで排泄してしまうこともあります。このとき、オムツをするのであれば、オムツはこまめに替えましょう。昼間に飼い主様がお仕事に行かれる等で、長時間オムツをつけたままにすると、排泄したものが皮膚を刺激して炎症をおこすことがあります。この場合は、サークル内にペットシーツやタオルを敷き詰めてその中に猫チャンを入れておきましょう。
・寝たきりになれば床ずれが出来ないようにエアーマットなどを敷いてあげましょう。
*こちらの記事は、まいどなニュース2024年6月9日号にも掲載されております。


