当院の診療では、「病気になる前に治す、病気の上流にある原因を探りそれを治す」ことを考えております。ですので、たとえば皮膚炎、喘息、肝炎などの根本原因は、おうちの中で使っている洗濯洗剤や柔軟剤、消臭スプレーなのかも知れません。抗生剤やステロイドを使った治療をする前におうちのなかの化学物質を疑ってみます。

 

先日、洗濯用の合成洗剤と柔軟剤をやめて皮膚炎がほぼ治った素晴らしい症例に出会いましたので、ここにご報告いたしますね。

 

●ごく最近のポメちゃん...首辺りが少し痒そうですが。

 

症例は、ポメラニアンの男の子(去勢済)9歳です。

数年前より全身の脱毛と膿皮症が治らず、あちこちの病院へ行き、可能な限りのお薬を試したとのことでした。

正直、心の中で私は「ありとあらゆるお薬を試したが治らないのであれば、当院でも治らないかも...」

と弱音を吐いておりました。

 

そして、お洗濯の洗剤をおききすると、洗剤はアリエールで柔軟剤はソフラン、でもこの子の衣類や毛布は「犬専用洗剤?」で洗っていますとのことでした。

犬専用ってなんでしょう?そもそもヒト用の洗剤で洗うと犬には不都合が起きる洗剤があるのであれば、それはヒトにも不都合な洗剤なのでは?

 

それに、このポメちゃん自身からも香料や抗菌薬剤のニオイがします。洗剤を別にしても洗濯機が同じであれば、薬剤は衣類に付着しますし、飼い主さんがポメちゃんを抱っこすれば、飼い主さんの衣類についている洗濯洗剤の成分は容易に犬の被毛にも付着してしまいます。

 

私は何度目かの診察で、恐る恐る提案してみました。

「合成洗剤や柔軟剤に入っている特殊な化学物質が悪さしている可能性があるので、石けん洗剤に替えて見られたらどうでしょうか?」

 

●当院へ来られた時のポメちゃん...皮膚が硬く黒ずんでいます。

 

飼い主様は、愛犬のためなら何でもやってみる!ガッツのある方だったのですぐに「やってみます!」という返答をいただけました。私はホッとしました。(中には、何でヒトの洗濯洗剤がなんで関係あるんですか?と私のお話を受け入れてくださらない方もおられますので)

 

そして、せっけん生活にして6カ月後…

 

脱毛している部分の皮膚が柔らかくなり、シミが薄くなり、うぶ毛が生えてきました。そして何より元気になった!というご感想をいただくことが出来ました。毛が生えて、私も嬉しい!

 


●モフモフになりました!ポメちゃんの顔も嬉しそう!

ペットの犬猫たちがそのほとんどの時間を過ごすおうちには、近年、
消臭剤や消臭抗菌剤入りの合成洗剤・除菌剤などが溢れており、絨毯やカーテンにも化学繊維と抗菌や防汚を謳うための添加剤が練りこまれています。これらの化学物質は、目には見えませんが微粒子となりお部屋の空間に漂い、ホコリに吸着して床に落ちています。

そして、犬猫たちは身体が小さいので、ほとんどの時間を床近くで過ごし、ヒトよりも多くのホコリを吸着し、吸い込んで、あるいは食べています。

犬猫たちの謎の不調や慢性的な下痢、心筋障害、呼吸器疾患、肝炎などは、もしかするとこのおうちの中に漂う化学物質が原因かも知れません。

愛犬愛猫に限らず、小さなお子さんも床近くで生活しています。また、この化学物質の蓄積が重度になれば、飼い主であるヒトも、これらの化学物質で不調になる可能性があります。体調がすぐれないときは、おうちの中の空気を疑ってみてください。